喘息発作でも、喀痰誘導のためにもよく使われる吸入(ネブライザー)。薬液を注入しスイッチを押すだけの簡単な作業ですが、ケアや体位の工夫をすると効果的ネブライザーができるほか、注意すべきポイントについてお伝えします。
効果的に吸入(ネブライザー)するには
吸入は、薬液を細かなエアゾル状態に肺まで届ける手法です。
ジェット式ネブライザーは気管支先端まで、超音波式ネブライザーは末梢気管支肺胞にいたるまで薬液を届けます。
喘息により腫れた気管支や末端に溜り硬くなった痰をやわらかくするために実施されます。
安全にそして効果的に吸入するためにはいくつかポイントがあります。吸入(ネブライザー)前、施行中、終了後にわけポイントをお伝えします。
1.吸入(ネブライザー)前
吸入(ネブライザー)前に両肺を聴診しましょう。
痰の貯留や狭窄している箇所を特定するとともに実際吸入で状態が変化したことがわかります。
体の位置は可能なら起座位、ファーラー位に。呼吸がしやすい体位を整えます。
そして、痰や唾液が貯留していたら取り除き呼吸がしやすい状態に環境を整えましょう。施行中に呼吸が苦しくない環境をつくっていくことがポイントです。
2.吸入(ネブライザー)中
吸入(ネブライザー)吸入中は薬液の刺激もあり痰や唾液の喀出がでますので喀出しやすいよう環境を整えます。そして、吸入中の唾液には薬液の成分が含まれますので喀出してもらいましょう。
また、実施中気管支拡張薬の副作用(頻脈・動悸・手の震え)が出ることもあります。症状が出た場合実施を中止し、状態を観察し報告をしましょう。
3.吸入(ネブライザー)後
吸入(ネブライザー)前に確認したように両肺を聴診します。吸入後の評価に繋がります。
終了後も気道分泌促進作用による副作用(胃部不快感・悪心・嘔気)がまれに出ます。症状出現時は観察報告しましょう。そして、ステロイドの吸入薬を使用した場合は特に口腔内に真菌を増殖させてしまうリスクがあります。
副作用症状出現面でも感染予防の面からも吸入終了後にはうがいを実施または介助しましょう。
また、吸入(ネブライザー)は薬液をエアゾル状態にする機材です。不潔は厳禁です。吸入(ネブライザー)は長時間使用しない、患者感で使いまわさない、機材の洗浄・消毒に充分するなど清潔に取り扱うことが重要です。
【まとめ】
1.吸入前は、聴診で肺の状態確認、吸入しやすい体位を整える。
2.吸入中は、喀痰等喀出しやすい環境を整え吸入による副作用症状出現したらすぐ中止する。
3.吸入後も聴診で肺の状態や副作用症状を観察する。施行後の器材の洗浄・消毒には充分注意する