在宅の現場では、病院とは異なり常に医師や看護師が近くにいることができません。在宅で暮らす患者さんでも痰がゴロゴロと湧き上がってきて吸引が必要な方もおられます。 訪問看護師は訪問時に吸引しますが、患者さんの状態によっては訪問時以外にも吸引が必要なこともあります。そのようなとき、家族が吸引をすることになります。ここでは在宅での吸引や家族に吸引を指導するときのポイントについて紹介します。
1.資格がないと家族は吸引できない?
吸引は医療行為であり基本的には医療従事者以外や特定の資格を持っている人以外は実施できません。 しかし、在宅では、指導を受け条件を満たせば家族が実施しても良いこととなっています。
2.必ず医療者が家族に手技の指導を
医療者でない限り吸引の経験がある人はほとんどいないでしょう。物品の説明や吸引を行う手順は丁寧に説明し実演して見せた後、実際に家族に実施してもらいましょう。手技の確認や不明な点がないか聞きつつ繰り返し実施していただきましょう。 安全性を重視し、適切なケアを提供できるよう根気強く説明実践を繰り返していくことがポイントです。
3.吸引器はレンタルか?購入か?
吸引器は介護保険の対象外なのですが、吸引器はレンタルすることが可能です。
購入も可能ですが高額なのでレンタルする方をおすすめします。 吸引器には、吸引の機能のみのものもあれば、吸引と吸入が可能な機器もあります。またバッテリー内蔵型で停電時などにも使用できるのもあれば、コンパクトで持ち運びに便利なものもあります。患者さんの生活スタイルや必要性に応じて選択しましょう。
4.加湿や体位ドレナージも効果的
いくら練習をしても吸引が不安だという家族もおられます。そして、無理な吸引は粘膜を傷つけたり出血の危険性もあります。また奥にある痰はいくら吸引しても取り除くことは難しいでしょう。 無理に吸引するのはとても危険です。その場合は部屋を加湿したり、体の向きを変えて痰を移動させる体位ドレナージなど吸引をしなくても自力で痰が出せるような工夫を説明実施してもらいましょう。
【まとめ】
1.在宅では家族も吸引できます。
2.不安を持ちながら吸引をすることは危険です。家族が十分理解できるまでしっかり指導しましょう。
3.吸引器はレンタルも購入も可能。患者さんや家族に合ったものを選択しましょう。
4.無理に吸引をしなくても加湿や体位ドレナージで痰を移動させ自力で排痰させる方法もあります