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精神科
2023.12.13
幻覚妄想状態の患者さんの看護のポイント


統合失調症で幻覚と妄想は特徴的な症状です。
現実とは異なり、その患者さんしか体感していない症状。患者さん自身は幻覚や妄想で不安や恐怖を感じています。 妄想の内容が被害的であれば、他者への攻撃性が強く現れることもあり、睡眠や食事、服薬など日常生活に必要な行動がとれなくなります。そこで、幻覚妄想状態の患者さんにどう関わればよいのか看護のポイントをまとめました。

1. 自傷他害を予防する

幻覚や妄想が強い場合、自傷や他害の危険性があります。危険なものを除去し、他者の接近を避けます。必要に応じて保護室で行動制限を実施することも。保護の理由や解除条件を患者さんにわかりやすく、十分に説明することが重要です。

2.現実との接点が持てるようにする

患者さんは幻覚や妄想に関する不安や恐怖を抱えています。「食事に毒を入れられている」など実際にそうではないことでも、患者さんはそう感じているのです。患者さんに一方的にそれは事実ではないと否定しても、患者さんの不安や恐怖を解消することは難しいです。そして、外側からの否定や指示するような言葉がけは、患者さんにとって脅威や動揺を与えます。

まず、相手が不安や恐怖を感じていることに共感しましょう。そして、自分と他者の区別がつかなくなっている患者さんに対して、患者さんと看護師は違うことを感じていると知ってもらいます。病的体験の話題が続くようであれば、患者さんの興味のある話やセルフケアの援助をし、さりげなく現実的な関わりに変えていくことも大切です。

3. 患者さんの幻覚妄想の内容を知る

幻覚や妄想については深く言及しない方が良いとされています。しかし、患者さんがどのような妄想で、それによりどのような苦しみを感じているのかはケアをするうえで知る必要があります。患者さんを理解するうえで大切な内容が含まれていたり、妄想のあらわれ方で状態の変化を把握できたりします。大声で叫んでいても、幻聴・妄想だとは決めつけられません。失禁等、何か不快感を訴える手段なのかもしれません。まずは話を聞き、患者さんの感じていること、体験していることを知りましょう。看護師が「分かったふり」を態度であらわすと不信感を与えます。

4. 幻覚妄想の助長や確信を避ける

妄想の内容については、患者さんの訴えを手掛かりとして病的体験と思われる言動の意味を考えます。しかし、妄想の内容をあれこれ聞きだすと患者さんの病的世界を広げ、病的世界に留まる時間を長くさせてしまいます。また、返答しているうちに妄想を強固させ、確かなものとして体系づける危険性もあります。意味を探るような応答は避けましょう。妄想の内容に同意はしませんが、患者さんにとっては事実であるということを認める関わりが必要となります。

【まとめ】

1.自傷他害を予防する

2.現実との接点が持てるようにする

3.患者さんの幻覚妄想の内容を知る

4.幻覚妄想の助長や確信を避ける

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