夜の救急外来にはお腹が痛い患者さんも多く来られます。問診をすると、中には「実は1週間も便が出ていないんです」と言う大人の方や、「お腹が痛がるし、食欲もないみたい。うんちをしたいけどできないみたい」と言う親御さんもいます。
こうした時は浣腸の出番です。浣腸は、お腹の中の便を柔らかくして出しやすくするお手伝いをします。今回は、浣腸をする前と後に気をつけるポイントについて説明します。
1.バイタル測定・肛門内を確認
処置前にバイタルサインを測定します。レントゲンを撮っている場合は腹部の画像も確認。そして、腹部の触診をします。この辺まで便があるな、と感じられます。同意を得られた場合は、肛門内に硬い便が貯留していないか手指を挿入して確認します。体位は必ず左側臥位で行います。 立位での直腸診や浣腸は直腸穿孔リスクがありますので避けています
2.摘便
便が直腸内に貯留している場合、潤滑剤を使用し摘便します。便が貯留したままだと浣腸液の挿入を妨げ、効果が半減してしまいます。
3.浣腸液注入
浣腸液を人肌(約37℃)に温めると、注入中の違和感や処置中の血圧変動が少なく済みます。左側臥位で、成人は肛門へ5〜6cm差し込みゆっくりと注入します。幼児、小児は3〜4cm です。声かけをしながら、気分不快がないか確認します。
4.排泄介助
注入後、5〜10分ほど押さえると、多くの方が便意を催します。トイレに行ける方はトイレ誘導をします。オムツを着用している方はおむつ内に排泄します。子ども(未就学児〜小学校低学年)はトイレまで我慢できないこともあるため、紙オムツや尿とりパットを使用します。
排泄時の怒責や急激な排便で、血圧や脈拍の変動が起きる可能性や迷走神経反射が起きることもあります。心臓疾患のある方には負担になることも。。また、排泄中に気分不快がないか、トイレのドアの外から声をかけたり、要介護の方などは近くで見守ります。腹部をノの字にマッサージすると良く出ます。
5.便の確認・バイタル測定
便の性状や色、量、臭気、腹痛や肛門痛の有無を確認し、終了後のバイタル測定をします。患者さんのスッキリ具合も確認します。
【まとめ】
1.肛門内を確認
2.必要時摘便
3.浣腸駅注入
4.排泄介助
5.便の確認・バイタル測定
1回の浣腸で最大限に効果を発揮できるようにしましょう。