鼻カニューラで酸素投与中の患者さん。起きている時は大丈夫なのに、寝るときにはSpO₂が下がってしまう。患者さんは酸素マスクの装着は嫌だと言うし、どうしたらいいでしょう。
鼻カニューラで酸素投与中に口呼吸になってしまってSpO₂が維持できない。そんな経験はありませんか?
酸素マスクって圧迫感もあるし、嫌がる患者さんも多いですよね。あと1~2%だけSpO₂が上がれば…。 そんな時に使える小ワザとその際の注意点をご紹介します。
小ワザ:鼻カニューラ装着の上からサージカルマスクを使用する
鼻カニューラでは通常1~4L程度で酸素投与が行われます。これは1分間の酸素の量で、酸素3Lだと1秒間で50㎖の酸素が流れています。人間は1秒間で息を吸いますので、鼻からしっかり息を吸っていれば50㎖吸えている状況になります。しかし口呼吸では、ほとんど酸素が吸えていない状況になります。
そんなときに鼻カニューラ装着の上からサージカルマスクを使用するとマスク内で酸素のリザーバー効果が生まれ、吸入する酸素の量を増やすことができるんです。
※実際に研究もされている
小ワザの注意点:耳介の皮膚トラブル
鼻カニューラ含めディバイスを使用する際、医療圧迫機器皮膚損傷(以後MDRPU)が怒らないよう注意が必要ですがサージカルマスクを併用するときはさらに注意が必要です。
特に自力でマスクを取り外しできない患者さんはMDRPUのリスクは非常に高いです。MDRPUの好発部位は耳介部ですので、その周囲に皮膚トラブルができていないか注意をしましょう。好発部位にクッション性の高いドレッシング剤で周囲を保護することやディバイス自体にドレッシング剤をはるのも有効です。
二酸化炭素の再呼吸によるCO₂ナルコーシスが心配だという声もありますが、実験ではサージカルマスク内のCO₂濃度は変わらなかったとされています。
【まとめ】
・鼻カニューラで酸素化が上がらない時は、サージカルマスクを併用する
・その際は耳介部等のMDRPU皮膚トラブルに注意が必要