初めての訪問先での場面です。60歳代の女性統合失調症のAさん宅に到着。電話で約束済みでしたがチャイムを鳴らすと、「返事してるじゃないの!腰が痛いのよ!入ってきてよ!そんなのも分からないの?馬鹿じゃない?」と激怒されています。
さあ、みなさんならどう対応しますか?
1.怒られた時の看護師自身の感情や体の反応を観察しよう
初対面で怒られれば、誰でも驚きや怖さを感じることは自然です。
まず、双方の安全を確認したら、看護師は自身の感情に目を向け、状況を整理しましょう。初対面での怒りに対し、反発や怒りの感情が湧くこともあります。感じた思いを「いらいらしている」「びっくりした」「ドキドキする」など率直に把握しましょう。
また、利用者さんに話を求められたら、自身が抱いた感情を正直に伝えることも看護です。「いきなり怒られてびっくりした」など、人と人との関わりを持つことも重要です。
一度自分自身を観察できれば、不安や驚きを和らげるだけでなく、目の前の利用者さんを冷静に観察する手助けとなります。
2.怒った利用者さんの話を聞きながら、怒りの背景にある思いを知る
怒っている利用者さんの多くは、話を聞いてほしい方です。ゆっくり話ができる場所に移動して、利用者さんの思いを聞きましょう。
この事例のポイントは腰痛です。腰痛の強弱によってADLや活動範囲に影響がおよび通所や作業所を休むなど動範囲が狭まります。
痛みからドアまでの歩行に不安や困難を感じていた可能性もあります。痛みや不安に寄り添いながら、丁寧に話を聞き食事や服薬、活動など近況の生活状況を把握し、病状をアセスメントしましょう。 この際、利用者さんの言動を否定すること、決めつけたりすることは避けます。言動の否定は、話す気持ちが薄れるだけでなく怒りの再燃につながることもあります。叱責で怯える気持ちが湧くこともあるかもしれませんが毅然とした態度で話を聞きましょう。
3. 怒りが収まらない時は利用者さんの安全を確認し、訪問を終了することも必要
利用者さんの怒りが収まらず、看護師への攻撃が止まらないときは訪問を早めに終了が必要です。
なぜなら、看護師が目の前に存在していることが怒りの刺激となっている可能性があるからです。利用者さんの安全が確保できていることを確認し、訪問の終了を提案しましょう。
そして、訪問後、他の看護師や関係機関と情報共有と連携を図っていくことが大切です。
【まとめ】
訪問で易怒的利用者さんの事例と看護のポイントと対応は以下の通りです。
1.怒られた時の看護師の感情や体の反応を自分自身で観察する。
2.怒った利用者さんの話を聞きながら、怒りの背景にある思いを知る。
3.怒りが収まらない時は利用者さんの安全を確認し、訪問を終了することも必要。