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2024.02.26
モアブラシを使って口腔リハビリと咽頭ケア

口の中で張り付いた口蓋苔を剥がそうとして出血させてしまった、喉でゴロゴロしている痰を吸引で取ろうとしたら出血させてしまった、そんな経験はありませんか?
口腔ケアや吸引は自力喀痰できない患者にとって不可欠ですが、苦痛の大きい処置のひとつです。このケアが上手くできれば患者さんに安心を提供することができます。
そんな時の強い味方、モアブラシです。 今回はモアブラシを用いたマッサージから口腔ケアと自力喀痰を促す技術をお伝えします。

1. 顔面マッサージ

両手で患者の頬を包むように触れ、手を細かく揺すります。時計回り・反時計回りにゆっくりマッサージし、口唇周囲も振動とマッサージを行います。 口唇が口に入り込んでいる場合は、左右の口角を摘まみ、上下の口唇が見えるようにします。

2. 鼻から息ができるよう鼻腔の汚れを除去

鼻づまりにより口呼吸せざるを得ない状況では、口腔内の乾燥や喀痰の乾燥が懸念されます。
患者への対応として、鼻づまり緩和のためには鼻を蒸しタオルで温め、後続の措置として鼻腔内にベビーオイルやワセリンを塗布します。これにより、鼻腔内の乾燥を予防し、貯留した喀痰も適切な湿潤状態を維持できます。

3. 口腔内の保湿


口唇が乾燥している場合は保湿ジェルを塗布します。首を曲げた状態のモアブラシに水を浸し、保湿ジェルを含ませて患者の口に含ませます。 モアブラシを使用し、口腔内の各部位に優しく押す、振動を加える、撫でるなどの刺激を与え、口腔内リハビリと唾液分泌の促進を目指します。

4. 浮き上がった咽頭の汚れを除去する

誤嚥の危険がある場合は、安全性を考慮して側臥位での実施が適しています。

① 患者の唾液分泌により咽頭部が保湿され、喉がゴロゴロし、舌根部に痰が見え隠れするようになります。

② 咳反射で口腔まで上がってきたら、モアブラシを使用して慎重に巻き取ります。

③ 痰や汚れのついたモアブラシは、コップの水でゆすいでから、親指と人差し指でしごきます。ブラシから落ちる痰や汚れの性状を観察します。

④咳反射ができ、口腔に喀出される痰や汚れが透明で、薄いとろみ程度の粘性になることが目標です。

⑤多量の痰が上がってくる場合は、吸引器を使用します。咽頭奥までチューブを入れる必要がないため、患者の苦痛を軽減できます。 ⑥乾燥や汚れが強い場合は、一度の口腔ケアで完全に汚れが取り切れないことがあります。患者さんが疲れないよう、何回かに分けてケアを行います。

【まとめ】

・モアブラシでおこなう口腔ケアは、十分に保湿ジェルを用います。

・ストレッチなどの口腔内刺激は、口腔リハビリと唾液分泌を促すために行います。

・保湿ジェルと刺激性唾液により、咽頭を含む口腔内の汚染が浮き上がってきたらモアブラシに絡めて除去します。

・モアブラシについた汚れから、口腔内の汚れの除去具合が判断できます。

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