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呼吸器内科
2024.04.15
胸腔ドレナージの仕組み(呼吸性移動編)

胸腔ドレナージでは、必ず呼吸性移動の観察が必要になります。
胸腔ドレナージが入った当初はしっかりと呼吸性移動があったもののがだんだん無くなっていくこともあります。
なぜそのようなことがおこるのかについて今回ご説明します。

1.呼吸性移動とは

胸腔ドレナージ挿入中は、呼吸性移動を注意深く観察します。
この移動は、呼吸によって水封室の水面が動く現象を指し、挿入直後ははっきりと観察されますが、時間が経つにつれて減少することがあります。これは、肺が拡張し、胸腔と肺のスペースが減少するためです。

他にも、呼吸性移動が減少する理由はいくつかあります。
患者の体位によってチューブが塞がれることや、粘稠な排液がチューブ先端を詰まらせることが挙げられます。排液の粘稠度が高い場合は、医師の指示のもとで慎重に処理する必要があります。

また、胸腔ドレーンの先端が肋骨や肺に当たって塞がることも考えられます。
この場合は、すみやかに医師に報告し、必要な処置を行います。

これらの状況に対応するためには、バイタルサインと胸腔ドレナージの観察が不可欠です。
異常が見られた場合は、迅速に医師や他の看護師に連絡し、適切な対応を取ります。

呼吸性移動は貴重な情報源であり、私の場合、患者のケアや薬の投与時にも観察に努めました。
呼吸性移動が不明確な場合は、患者に深呼吸を促したり、ドレーンチューブを曲げることで微細な移動を確認することができます。

2.症例

次に、具体的な症例です。  気胸で入院した患者さんが胸腔ドレーン挿入2日目で、前日は呼吸性移動がありましたが、今日は観察されません。患者さんは呼吸苦や痛みはなく、SPO2 の低下もありません。皆さんでしたらどう報告しますか?

私はこの現状の情報から「胸腔ドレーンの先端が肋骨や肺に当たって塞がるのでは」と判断しました。

このため、医師にはバイタル・胸腔ドレーンの観察項目を報告すると同時に胸腔ドレーンを引き抜き再縫合、固定するために必要な縫合セットや滅菌手袋等必要物品を準備処置ができるようにしようと考えます。 さて皆さんは、この状況をどのように判断し、どのように対応しますか?

別のご意見も含めコメントをお待ちしています。

【まとめ】

・呼吸性移動は挿入後は肺の拡張により徐々に呼吸性移動が減少、なくなることもある

・呼吸性移動は、体の位置によってチューブ先端が塞がれることや粘稠度の高い排液がチューブ先端を詰まらせること、胸腔ドレーンの先端が肋骨や肺に当たって塞がることでもおこる

・呼吸性が消失した場合バイタルサインと他の胸腔ドレナージの観察が重要です。
 異常が見られた場合は、医師や看護師に報告し、適切な処置を行うことが必要です。

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