セクシャルハラスメントやカスタマーハラスメントは医療現場でも遭遇することが多くあります。これらは非常に深刻な問題で、場合によっては看護師の安全や職業的な尊厳も脅かす行為です。訪問看護では看護師が1人で自宅に行くことが多く、他者の目がないところでハラスメントが発生するかもしれません。この記事では、在宅における利用者からのハラスメントに関する実際の事例をもとに、対応方法について紹介します。
1.事例

特定の看護師への依存が強い70代男性。体調が悪くなった時に連絡をしたいので個人の連絡先を教えて欲しいとしつこく迫ってきました。緊急時の対応加算は契約しているため、何か困ったことや体調不良時は緊急の連絡先に連絡する様に伝えますが、なかなか伝わりません。「私は◯◯(ステーション名)と契約しているのではなく、あなた個人と契約しているんです。だからあなたがちゃんと対応してくれないと困る。他の看護師では私の状態はわからない」と言います。訪問看護記録などで看護師同士情報共有をしていると伝えても、「直接訪問に来ていない人はわかっているようでわかっていない」と聞く耳を持ちませんでした。 しかし、ここで個人の連絡先を教えてしまうと、もし連絡がかかってきたときに対応できなかった場合、トラブルの元になりかねません。
2.対応方法

この事例はサービス内容を超えた過剰要求であり、カスタマーハラスメントの可能性があります。管理者から規約の説明をした方が良いでしょう。また、1人の看護師が訪問に行くのではなく定期的にさまざまなスタッフが訪問に行き、利用者に顔を合わせておくと安心につながるのではないでしょうか。独居の高齢者は家族との関係性にも目を向ける必要があると考えます。家族が遠方に住んでいたり、近場に住んでいても関係性が悪かったり、家族を頼れない利用者もいます。そんなとき心の支えとなっているのが訪問看護師なのかもしれません。まずは利用者の気持ちを傾聴することも大切です。
まとめ
・セクシャルハラスメントは看護師に心理的ストレスを与えます。迅速かつ適切な対応が必要
・過剰な要求や不適切な依存に対して冷静に対処するために訪問看護の契約内容や訪問の目的を定期的に確認する機会を設けることも検討する