1. ネーザルハイフロー（NHF）とは？

ネーザルハイフロー（NHF）は、30～60L/分の高流量で、加温・加湿された酸素を提供するシステムです。鼻カニューレを使用するため、非侵襲的に呼吸をサポートでき、長時間の使用でも不快感が少ないのが特徴です。NIPVや気管挿管を避けたい患者の食事や日常生活動作（ADL）を維持する際に適しており、酸素濃度（FiO2)は21～100％まで調整可能です。また、口が自由に使えるため、会話や飲食が可能という大きなメリットがあります。

2.ネーザルハイフローの特徴

ネーザルハイフローは、鼻から高濃度の酸素を供給するシステムです。この治療では、患者さんが会話や飲食をしながら通常の入院生活を送ることが可能です。また、加温・加湿された酸素を供給することで、鼻や気道の粘膜を保護し、乾燥を防ぎます。これにより、排痰がしやすくなり、呼吸の負担を軽減する効果があります。
さらに、勢いよく酸素を流すことで、肺胞が膨らみやすくなり、軽いPEEP（呼気終末陽圧）効果を得られるため、患者さんの呼吸を楽にし、非侵襲的なサポートが可能です。

3.適応となる患者

ネーザルハイフローは、自発呼吸がある呼吸不全の患者に適しています。特に、CO2ナルコーシス（高炭酸ガス血症）でない患者や、NIPVや気管内挿管が必要ない状態の患者に効果的です。これにより、患者さんの呼吸負担を軽減しつつ、快適に酸素供給が可能です。

ネーザルハイフローの副作用と看護のポイント

ネーザルハイフロー使用時には、CO2ナルコーシスや酸素中毒のリスクがあるほか、カニューレや回路による皮膚トラブルが発生する場合があります。そのため、以下のポイントを押さえた観察とケアが重要です。

1.副作用の早期発見
患者の呼吸状態や意識レベルを定期的に確認し、CO2ナルコーシスなどのリスクに注意します。

2.機器の設定確認
流量、酸素濃度、湿度設定を定期的にチェックし、特にケア後は再確認を徹底します。

3.乾燥対策と加湿管理
鼻腔の乾燥を防ぐために、加湿器の水量や温度を確認し、回路の屈曲を防いで適切な加湿状態を保ちます。

4.暑さの不快感軽減
加温設定が高温（31〜37度）になるため、必要に応じてクーリングを行い患者の快適性を確保します。

5.皮膚トラブルの予防
カニューレの圧迫を避けるため、回路を衣服に固定するなどの工夫を行い、必要に応じて保湿剤や保護剤を使用します。

副作用を防ぎつつ快適な治療環境を提供するため、注意深い観察と適切なケアを心がけましょう。

まとめ

● NHFは非侵襲的に高濃度・高流量の酸素療法が可能
● 加温加湿で粘膜の損傷を防ぎ、排痰を促進
● 副作用にはCO2ナルコーシスや皮膚トラブルがあるため、定期的な観察が重要