採血の時に「痛い!」と言われて、落ち込んだ経験がありませんか?採血時の痛みを最小限にするためには、穿刺部位の選定も大切なポイントです。
少し時間がかかっても、患者さんの腕をしっかりと観察して、安全・安楽に採血できる部位を見つけることが痛みの軽減につながります。
この記事では、採血時の痛みが起こりにくい部位と、穿刺する血管を選ぶときの注意点について紹介します。
1. 採血時の適切な血管の選択

最も一般的に推奨される血管は橈側皮静脈です。この血管は患者の肘の内側に位置し、穿刺後の痛みやしびれが最も少ないとされています。橈側皮静脈を穿刺する際には、以下の点を確認してください。
【血管の太さ】
適度な太さの血管を選びます。太すぎると穿刺が困難になり、細すぎると血流が不十分な場合があります。
【深さ】
皮膚の表面から適切な深さにある血管を選びます。浅すぎると穿刺が不安定になり、深すぎると他の構造に損傷を与えるリスクが増します。
【弾力性】
血管が柔らかすぎず、適度な弾力性があることが理想です。
【走行の確認】
血管が直線的に走行していることを確認し、穿刺しやすい状態かを見極めます。
【拍動の有無】
静脈血管であることを確認します。誤って動脈を穿刺しないよう注意しましょう。
橈側皮静脈が難しい場合、肘正中皮静脈や尺側皮静脈が次の選択肢となりますが、これらの血管は神経や動脈に近接しているため、穿刺には細心の注意が必要です。
2. 穿刺部位の選択時の注意点

特に採血が困難な患者さんの場合、手首近くの血管を穿刺するのは避けるべきです。手首の橈側には橈骨神経があり、手掌側には動脈や腱が近接しています。 また、麻痺がある腕での採血は、神経損傷などの合併症が発生していても、その症状に気付かない可能性があるため危険です。
3. 痛みが強い場合の対処法

採血時の痛みは、通常であればチクッとする程度で、我慢できる痛みです。
しかし、患者さんが強い痛みやしびれを訴えた場合には神経損傷のおそれがあります。すぐに採血を中止しましょう。もし中止しても痛みやしびれが続いている場合、医師に診察が必要となります。
まとめ
・橈側皮静脈は穿刺後の痛みやしびれを生じにくい
・肘付近で採血できない場合は、前腕や手背の血管を探す
・手背は前腕に比べて痛点が多く、皮下脂肪が少ないため、痛みが強くなりやすい
・強い痛みやしびれがある場合は、すぐに採血を中止して、必要に応じて医師の診察を