採血をするときに「スピッツの順番ってどうして大事なんだろう?」と思ったことはありませんか?実は、これには明確な理由があります。今回は、採血スピッツの順番の意味と注意点について、お伝えします。
1. 採血スピッツの順番がある理由
採血スピッツの順番が決められているのは、正確な検査結果を得るためです。
スピッツには、それぞれの検査項目に応じた特定の添加物が含まれています。順番を誤ると、別のスピッツ内の添加物が混入し、検査結果に影響を及ぼす可能性があります。
2. 採血スピッツの順番

シリンジ採血と真空管採血では、それぞれの順番が以下の通りに決められています。
【シリンジ採血の場合(スピッツにあとで分ける場合)】
1.凝固(黒)
2.血算(紫)
3.血糖(灰)
4.生化学(茶)
5.その他
特に重要なのは、「凝固(黒)」と「生化学(茶)」の順番です。なぜなら、採血中に血液の凝固がすでに始まっているためです。凝固検査のスピッツを最優先で分注する必要があります。その後、EDTAが含まれている血算や血糖のスピッツを順番に分注しましょう。
【真空管採血の場合】
1.生化学(茶)
2.凝固(黒)
3.血算(紫)
4.血糖(灰)
5.その他
真空管採血では、生化学スピッツを最初に使用します。これは、穿刺直後に混入しやすい組織液が、生化学検査の結果には大きな影響を与えないためです。その後、抗凝固剤入りのスピッツ、血算、血糖の順で採血しましょう。
3. 採血スピッツの順番以外で気を付けること

翼状針を使用する場合、チューブ内に約0.4mlの空気が含まれているため、定められた採血量のスピッツでは血液が不足することがありますので、注意が必要です。 生化学検査用のスピッツ(茶色)がある場合は、これには3~6mlの採血が可能ですので、最初にこれを使用してチューブ内を血液で満たすと良いでしょう。 生化学検査が不要な場合は、最初に使用する空のスピッツでラインを満たし、その後に採血を行うという方法もあります。
4. 特殊なスピッツへの対応 (アンモニア検査の場合)

血中アンモニア検査は、シリンジを用いた採血のみで行うことが推奨されます。理由として、真空管を使用すると組織液が混入しやすく正確な結果を得られなくなる可能性があるためです。 採血後は、規定量を速やかにスピッツに分注し、10回以上優しく混ぜること、混合したサンプルは直ちに氷水で冷却し、検査室へ迅速に提出してください。
アンモニア検査以外にも、遮光が必要なスピッツなど特別な取り扱いを要する検査があります。もし見慣れない検査がある場合、事前に検査科に確認することをお勧めします。 採血スピッツの正しい順番を守ることで、患者さんの検査結果の正確性が保たれます。手順を覚えるまでには時間がかかるかもしれませんが、焦らずに一つずつ慣れていきましょう。
まとめ
・採血スピッツの順番は採血方法によって異なる。
・シリンジ採血は「凝固(黒)」が最初。真空採血は「生化学(茶)」が最初。
・アンモニア検査はシリンジ採血のみ推奨で、特殊スピッツは検査科に確認しよう。