せん妄の状態にある患者さんは、いくら丁寧に説明しても安静を保つことも難しい場合が多いです。その結果、看護や介護スタッフの負担が増え、ほかの患者さんへのケアにも影響が出ることがあります。せん妄の原因を深く理解し、それに基づいた適切な対応や予防策を学ぶことは、効果的なケアを提供する上で不可欠です。この記事では、せん妄の背後にある多様な要因と、それに応じたケアの工夫について考えてみましょう。
せん妄の原因とその対応策
1. 夜間せん妄とは

夜間せん妄とは文字通り夜間に起こる意識障害の一種です。高齢者などに多くみられ、時間や場所などがわからなくなる見当識障害が起こります。他にも入院時や日中は特に問題がなかったにも関わらず夜になると不安などから急に怒り出したり、落ち着きがなくなったりします。実際には見えないものが見えるなどの幻覚症状も起こりうる症状の一種と言えるでしょう。
2. 夜間のせん妄とその対策

夜間せん妄は、看護の現場で頻繁に直面する症状です。日中は落ち着いていて特に問題がなかった患者さんが、夜になると急に意外な行動を取ることがあります。たとえば日中は移動時センサーマットを踏んでいたのに、なぜか夜になるとセンサーマットを巧妙に避けて通過することなどが起こります。このため、ベッドサイドだけでなく、病室の入り口やナースステーション前、エレベーター前など、複数の場所にセンサーマットを設置して対応することもありました。
3. 共感的な声かけによる対応

せん妄により、夜間は混乱や暴力的な発言がみられる患者さんもいます。被害妄想に陥る患者さんに対しては、共感的な声かけが効果的です。「朝日が昇る頃には、この辛い環境から抜け出せるよう努力しましょう」という前向きな声かけを行うことで、患者さんが一人ではないと感じ、気持ちが安定するので効果的でした。
【まとめ】
・せん妄の原因に応じた対応が重要
・夜間は患者さんの離棟・離院に注意。センサーマットの設置を工夫
・強い不安や攻撃的な患者さんには共感的な声かけが効果的