血圧測定は、バイタルサインの一環として、体調不良や病状の早期発見に役立つ重要な指標です。しかし、患者さんの体位や体型によって血圧の数値は変動しやすいため、正確な測定が非常に重要です。今回は、うまく血圧を測定できないケースとその対処法を5つ紹介します。
1. 側臥位の場合の測定:

側臥位で上になっている腕で血圧を測定する際、心臓よりも高い位置になるため、測定値が低くなることがあります。血圧測定では、カフの位置を心臓の高さに合わせるのが理想ですが、仰臥位が困難な場合は、側臥位を調整して下になっている腕で測定することで、静水圧の影響を最小限に抑え、より正確な数値が得られます。この方法では、心臓の高さから1cm上下するごとに0.7mmHgの圧差が生じるため、測定位置の正確性が非常に重要です。
2. 厚着での測定
厚着をしたまま血圧を測ると、衣服が圧迫を妨げるため数値が高く出ることがあります。厚手の服の場合は、可能な限り服を脱ぐか袖をしっかりとまくり上げ、圧迫がない
状態で測定することが望ましいです。衣服による圧迫はカフの圧力伝達を阻害し、血圧が実際よりも高く測定される可能性があります。
3. マンシェットの調整

マンシェットが緩すぎると、カフの圧力が十分に血管に伝わらず、数値が高く出ることがあります。逆に、マンシェットがきつすぎると血流が阻害され、数値が低く表示されることがあります。マンシェットは指が2本入るくらいの余裕を持たせ、ちょうどいい締め付けで巻くことが理想です。
4. マンシェットの位置

マンシェットの中心部(ゴム嚢)が上腕動脈からずれていると、圧迫が均等に行われず、誤った数値が出ることがあります。これは、マンシェットが正しく位置していないと、カフの圧力が血管に適切に伝わらないためです。正確な位置にマンシェットを設置するために、腕の拍動を感じる位置を確認してから装着し、カフが上腕動脈を適切に圧迫し、より正確な血圧測定が可能になります。
5.測定すべきでない場所と対処方法
麻痺側の腕、拘縮がある腕、シャントが設置されている腕、乳がんの手術を受けた側の腕では測定は避けましょう。誤ったデータが得られないだけでなく患者に不快感を与えることもあります。
特に乳がん手術後の腕ではリンパ浮腫のリスクが高まります。
測定すべきでない側の反対側の腕や下腿など別の場所等方法で測定しましょう。
【まとめ】
・側臥位の血圧は下側腕で測定
・厚着時は衣服での圧迫を避ける
・マンシェットは適切な締め付け
・誤った位置での測定は不正確
・麻痺側の腕、拘縮がある腕、シャントが設置されている腕、乳がんの手術を受けた側の腕では避ける