
誤嚥は高齢者や何らかの理由によって嚥下機能が低下した患者に多く見られ、誤嚥性肺炎の原因になります。食事介助や呼吸器管理、全身麻酔の前後など、注意すべきタイミングは多くあります。どのように評価して、どう対応すればよいのでしょうか。確認しておきましょう!
1. 重要!事前に嚥下機能を評価してみよう

加齢や脳神経障害、パーキンソン病など様々な要因で誤嚥を起こすことがあります。嚥下機能の評価には水飲みテストなどのスクリーニング検査と、内視鏡などを用いて行う精密検査とがあります。しかし、看護師が観察する中で評価できる項目も多くあります。
・嚥下機能について
口腔内に唾液が多く貯留していないかを観察します。唾液の嚥下が不十分だと嚥下機能が低下している可能性があります。また嗄声はないか、十分な咳ができるかを観察しましょう。
・全身状態について
重篤な心疾患や肺疾患などはないか、労作性のバイタルサインの変動がないかを確認します。疲労感や切迫性の呼吸があると、普段よりも嚥下機能の低下が見られる可能性があります。
・口腔内の状態
口腔内が清潔か、口臭や舌苔の有無を確認します。
2.どんな時に注意が必要?

食事中もっとも誤嚥を起こしやすい場面です。食事の形態や、一口の量、食事中の姿勢などに注意が必要です。とろみのない液体は気道に流れやすく、嚥下反射の低下がある場合に誤嚥しやすくなります。背筋を伸ばし、顎を引いた姿勢をとるようポジショニングを行います。
・医療・ケアの場面
経鼻胃管や胃瘻の患者でも、胃食道逆流によって誤嚥するリスクがあります。気道内や口腔内にたまった痰や分泌物がうまく喀出されない場合は、吸引が必要です。口腔ケアが不十分だと食べかすや細菌を含む唾液を誤嚥し、肺炎の原因となります。
このため、経口摂取をしていなくても清潔が保てるようタイミングをみて口腔ケアを毎日行うことが大切です。
・全身麻酔や鎮静などの処置後
日常生活では食事や体位の工夫で問題なく過ごせている患者も、全身麻酔や鎮静などの特別な処置のあとは、嚥下機能がいつもより低下するので注意が必要です。
以上、誤嚥に対する評価と注意すべき場面について解説しました。誤嚥性肺炎は時に命を奪うほど重篤な状態になりかねません。看護師の日々の観察と適切な介助・ケアで誤嚥対策をしましょう。
【まとめ】
・誤嚥対策は事前の嚥下機能の評価・観察が重要
・最も注意すべきタイミングは食事中。背筋を伸ばし顎を引いた姿勢が取れるようにする。
・とろみを使用したり、一口の量を調整したり、食事形態を調整する。
・適切な口腔ケアと吸引で誤嚥性肺炎を予防しよう。