それ、昔のやり方かも?ワクチン接種の最新ルール

病院
2025.06.24
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 ワクチン接種のとき、「学校ではこう習ったけど…あれっ?」と思ったことはありませんか?
接種後に揉む?揉まない?姿勢はこれで合ってる?など、現場に出て初めて気づく“昔と今の違い”が意外と多いんです。
 今回は、そんな迷いやすいポイントを今の基準でわかりやすく整理します!

揉んだ方がいいですか?”と聞かれたらどう答える?

ワクチンを打ったあと、患者さんから「揉んだ方がいいですか?」と聞かれることがあります。
かつては、接種後に部位を揉むのが一般的で、「吸収が良くなる」と考えられていました。
しかし現在では、筋肉注射後に揉むことは推奨されていません。
理由は、揉むことで内出血や筋組織の損傷につながる可能性があるからです。

患者さんなどから「昔は揉んでた」と言われて戸惑うこともあるかもしれませんが、今のガイドラインに基づいて、安全なケアができるように説明することが大切です。

その姿勢、今はNG!?三角筋への注射、正しい位置と姿勢とは

 筋肉注射の姿勢や刺入部位も、昔と今では変わってきています。
以前は「左手を腰に当てて腕を張る姿勢」で三角筋に注射するのが一般的でした。この姿勢は三角筋が盛り上がって見えやすいという理由で選ばれていました。

  • ・しかし現在では、この方法は橈骨神経を損傷するリスクがあるため推奨されていません。
    橈骨神経は手首や指の動きをつかさどる重要な神経で、手を腰に当てると神経が腕の前方に出てしまい、誤って刺してしまう危険があるのです。

現在は、腕を自然に下ろしたリラックスした姿勢で三角筋中央部に注射する方法が基本です。
刺入部位の目安は次の通りです:

  • ・肩峰中央から垂直に下ろした線
  • 前腋窩線と後腋窩線の頂点を結んだ線

この2本が交わる三角筋中央部が、安全な刺入点とされています。

経過観察は必要?ワクチンの種類で違います

筋肉注射は、インフルエンザ、肺炎球菌、HPV、帯状疱疹、B型肝炎などのワクチンで使われます。
このうち、HPVワクチンや新型コロナワクチンなどは、接種後に15〜30分の経過観察が推奨されています。
まれではありますが、アナフィラキシーなどの急性アレルギー反応が起こる可能性があるためです。

すべてのワクチンで観察が必要なわけではありませんが、ワクチンの種類や患者さんの体質など必要に応じた判断が求められます。

入浴してもいいの?と聞かれたらこう答える

「今日、お風呂に入ってもいいですか?」というのも、よくある質問です。
結論としては、基本的に入浴は問題ありません。
日本ワクチン学会などでも、入浴が体調や接種部位に悪影響を与えるという根拠はないと明記されています。

昔は、体温が上がることで副反応が強く出るのではないかという懸念や、衛生環境の違いから、入浴を控えるよう指導されていた時代もありました。
しかし現在は、清潔を保つことの方が重要とされており、無理をしなければ入浴はOKです。

ただし以下の点には注意を促しましょう:

・飲酒はほどほどに

・接種部位を強くこすらない

・長風呂や激しい運動は控える

【まとめ】

  • ・接種後は揉まないのが基本。
  • ・姿勢は自然に腕を下ろした状態で三角筋中央に接種。
  • ・経過観察が必要なワクチン(HPV・コロナなど)を把握しておく。
  • ・入浴は基本OK。ただし、無理をさせない説明が重要。

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