ネーザルハイフローを装着している患者の清拭や更衣は「カニューレが外れたらどうしよう」「呼吸が苦しくならないか」と不安を感じやすいケアです。高流量酸素療法中であっても、皮膚トラブルや不快感を防ぐため、定期的な清潔ケアは欠かせません。ここでは安全に行なうための具体的なポイントを紹介します。
① 回路が、寝衣やベッド柵に引っかかっていないか位置を確認する

回路が身体の下に入り込んでいたり、ベッド柵に絡まっていると、体位変換時にカニューレが外れやすくなります。
ケアのポイント
・清拭・更衣を開始する前に、回路全体を目で追い、ベッド柵にかかっていないか、身体の下に入り込んでいないかを確認しましょう。
・回路を患者の頭側〜肩の上あたりに寄せておくとケア中の動作がしやすくなります。
・体位変換時は、片手で鼻カニューレの先を鼻の下に添えるように軽く保持し、鼻孔とのずれを防ぎましょう。
② 清拭は、一度に全身を終えようとせず部位ごとに分けて行いましょう。

呼吸状態が不安定な方は、長時間の清拭が負担になることがあります。
ケアのポイント
・まず上半身の前面のみを清拭した後に呼吸状態を整え、下半身へというように、部分ごとに清拭を行ないましょう。
・臥床のまま背部を拭くときは、左右の側臥位にゆっくり体位変換し、呼吸状態の観察をしながら行ないます。
・SpO₂モニターを確認し、医師の指示値より低下していれば一度ケアを中止し、休憩を挟み呼吸を整え酸素状態の回復を待ちましょう。
③ 更衣は衣類の形状を工夫し、可能であれば複数人でケアしましょう。
Tシャツなどの被り物の衣服は、チューブに引っかかって着脱時にトラブルになりやすいです。ケアのポイント
・患者に着用する衣類は、襟ぐりが広いものや前開きのパジャマなどを準備しましょう。
・2人対応できる場合は、1人が回路とカニューレ周囲を支え、もう1人が衣類を扱うとスムーズです。
④ 鼻まわりや耳の後ろの皮膚状態を必ず観察します。

ネーザルハイフロー使用中は、皮膚保護目的に塗布されるワセリンや皮脂の蓄積、チューブの摩擦により、皮膚トラブルが起きやすくなります。
ケアのポイント
・清拭用のガーゼで鼻翼・鼻下・耳の後ろをやさしく拭き取り、皮膚の異常がないか確認します。
・ワセリンが多量に残っている場合は、ぬるま湯で湿らせたガーゼやタオルでふき取り、その後薄く再塗布しましょう。
・赤みや痛みを訴える部位には、軟膏や皮膚保護剤の使用を医師に報告・相談します。
【まとめ】
・回路が引っ張られないように事前に位置とたるみを確認する
・清拭・更衣は、呼吸状態に合わせて上半身・下半身など部位ごとに分けて行なう
・衣類は、前開きや襟ぐりが広いものを選ぶ
・鼻や耳の皮膚は必ず観察し、異常があればケアや医師への報告を検討する