実習中、患者さんの治療が突然変更になり、戸惑った経験はありませんか。
私は、血液内科の実習で、悪性リンパ腫の患者さんを受け持った際、治療内容が変わった理由を理解できないまま、立ち尽くしてしまいました。患者さんの不安を前に、何もできない自分が情けなくなったことを今もしっかりと覚えています。今回は、そんな苦い経験から学んだ「学生だからこそできる向き合い方」をお話しします。

血液内科病棟では、治療内容の変更は珍しくありません。
点滴の名前が変わり、説明用紙が差し替えられ、患者さんから「治療が変わったって聞いたけど、どういうこと?」と声をかけられる……。しかし、学生の私は、治療名も理由も分からず「確認しますね」としか答えられませんでした。
患者さんの不安そうな表情を前に、何もできないことに情けなくなる……そんな経験は看護学生の多くが、一度は通る道ではないでしょうか。

実習で、私は血液内科の悪性リンパ腫の患者さんを受け持ちました。治療は当初の内容から変更となり、点滴メニューやスケジュールが変わりました。
患者さん自身も状況を完全には理解できておらず、不安を抱えながら過ごされていました。
当時の私は、治療名が変わったという知識ばかりに意識が向き「なぜ変更になったのか」「患者さんは今、何が不安なのか」まで考えが及びませんでした。
結果として、患者さんからの問いに「確認しますね」と答えるだけで、きちんと向き合うことができなかったのです。
今なら、治療が変更になったとき、主治医に質問する前にできる準備がわかります。
まず、医師が患者さんへ渡した説明資料の内容をしっかり確認すること。次に、担当看護師に相談し、治療変更の経緯を教えてもらうこと。さらに、血液検査のデータを確認しておくことも重要でした。データの推移を時系列で見ておくと、治療の効果や副作用、次の治療へ切り替わった理由が少しずつ見えてきます。もしデータを簡単なメモやグラフにして整理できていたら、理解はもっと深まっていたでしょう。

当時の私は「どうして治療が変わったのですか?」と、医師や看護師に聞く勇気がありませんでした。今なら次のように医師や看護師に声をかければよかった、と思います。
「治療が変更になった理由について、私なりに学習してみましたが、どうしても理解できない点があります。今回の変更の背景を教えていただけますか。」
事前に調べ、理解している点を伝えた上で質問すると、相手も説明しやすくなります。学生であっても「分からないままにしない姿勢」は十分に伝わるはずです。
あのとき何もできなかった経験は、今の看護につながっています。
患者さんの不安に耳を傾けること。
分からないことを分からないままにしないこと。
そして、一人で抱え込まず、チームに相談すること。
学生時代の失敗や戸惑いは、決して無駄ではありません。
その積み重ねが、患者さんに寄り添う看護の土台になっていると、私は感じています。



