高齢者の食事介助時のポジショニング

実習サポート
2026.02.27
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学生の頃、老年看護の実習で高齢患者さんの食事介助に関わりました。教科書通りのポジショニングを行い、私はそれで十分だと思っていました。しかし看護師として働くなかで、教科書通りのポジショニングを行うことが正解ではなく、患者さんそれぞれの疾患や体格などに合ったポジショニングを考える必要があることに気づきました。当時を振り返り、食事介助時のポジショニングの工夫について考えてみたいと思います。

患者背景と実習場面

私は、老年看護実習で、中等度の認知症と脳梗塞後遺症の右片麻痺のある高齢者を受け持ちました。麻痺によりスプーン操作が難しく、食事中は体幹の保持や一口量の調整など、部分的な食事介助が必要な方でした。

嚥下機能の低下もあり、食事中にむせることがありました。私は「誤嚥を防ぐこと」を最優先に目標や計画を立案し、ギャッジアップの角度や頚部の傾きに注意し食事介助を行っていました。しかし、患者さんは途中で食事が進まないことが多かったです。認知症があり発語も少ない方で理由を聞いても返事は返ってきませんでした。私は食事内容の問題や空腹感がないことが理由ではないかと考えていました。

振り返り-今ならどうするか

当時の私は、ポジショニングとは「30度〜60度ベッドを起こす」「顎を引く」など教科書通りの姿勢を再現するのがポイントだと思っていました。そのため、患者さんの食が進まなくてもポジショニングのせいではないと思い込んでいました。今振り返ると、食事介助時のポジショニングは、ベッドアップや頚部の角度だけでなく、体幹・下肢・足底を含めた全身の安定が重要だったと感じます。 

具体的には、次のような点を意識するようになりました。

・ギャッジアップ後に背抜きを行い、背部をマットに密着させる
・足底がしっかり接地するよう、膝を軽度屈曲し下肢の支持を整える
・体幹が安定するよう、円背などで体幹保持が難しい場合には、背部や腰部にクッションを入れて上半身を支持し、ずり落ちを予防する

さらに、痩せが強い方や体幹支持が著しく低下している場合には、
リハビリ職の視点も参考にしながら、必要に応じて仙骨部周囲を含めた個別調整を行い、姿勢の安定を図ることもあります。

こうした工夫を行ったうえで、
「疲れていないか」「楽な姿勢か」「その姿勢を保てているか」を、
表情や反応から丁寧に観察することが大切だと、今は考えています。

学びとまとめ

 食事介助におけるポジショニングは「誤嚥予防」のためだけではなく、安心・安楽に食べ続けられるためだということです。

 患者さんにとって、姿勢が安定することは「食べやすさ」だけでなく、「疲れにくさ」や「食べる意欲」にもつながると感じます。

 教科書通りのポジショニングではなく、それぞれ患者さんの体格、円背だったり可動域の違いだったり、個別性のあるポジショニングが重要です。それこそが老年看護における食事介助の本質だと実感しました。

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