ネーザルハイフロー中の口腔ケアと洗面のコツ

呼吸器内科
2025.09.11
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ネーザルハイフロー装着中の清潔ケアは、不快感の軽減だけでなく誤嚥予防や呼吸の安定にもつながる大切なケアです。しかし、現場では「回路が邪魔で顔が拭きにくい」「カニューレを外さず口腔ケアして大丈夫?」といった疑問や不安もあるでしょう。安全に行うために押さえておきたいケアのポイントを整理してご紹介します。

① カニューレを外さずに安全な口腔ケアを行う

ネーザルハイフロー装着中は、酸素供給が途切れないよう基本的にカニューレを外さずに口腔ケアを実施します。

ポイントは、口腔内への過度な刺激や誤嚥に注意することです。

ケアの工夫

・湿らせたスポンジブラシで頬側から奥歯へ向けてやさしく清拭する

・水分を多く使いすぎると誤嚥のリスクになるため保湿ジェルやスプレーの使用も検討する

・必要に応じて吸引器を準備、使用する。

② 洗面や顔の清拭時は回路位置を意識

洗顔や顔の清拭時には、耳まわりや頬など回路と接触する部位の皮膚トラブル予防も兼ねて丁寧に行います。回路が引っかかったり外れたりしないように、手で軽く保持したり固定するのも有効です。1人で安全なケアが難しい場合には2人体制のケアにしましょう。

ケアの工夫

・タオルや清拭シートで目元→頬→口元→耳の順に拭く

・拭く際は1人がカニューレの根元を軽く支えると安定(2人体制の場合)

・拭き終えたら皮膚の赤み・圧痕の有無を確認し、必要ならワセリンなどを薄く塗布し保護する

③ 呼吸状態を観察しながらケアを進める

口腔ケア・洗面はいずれも一時的に呼吸を止める動作が含まれるため、SpO₂や努力呼吸の有無を観察しながら実施します。

ケアの工夫

・SpO₂が低下し始めたら中断し、体位や呼吸を整え「鼻からゆっくり息を吸って腹式呼吸をしましょう」と声掛けをする

・ケア中は患者の表情・発話・呼吸状態(胸の動き)を観察

④ 自立支援・見守りと安全確保の両立

ネーザルハイフロー使用中でも、患者の中には「自分で口をゆすぎたい」「顔を拭きたい」と希望される方もいます。患者の希望と尊厳を守りつつ、安全に行えるよう道具の配置と動作の見守りを工夫します。

ケアの工夫

・ベッド上で清拭タオルやシートを届く位置に配置する(うがいができればコップやガーグルベースンなど必要に応じた物品を準備する)

・動作中に回路が突っ張っていないか、鼻からズレていないかを見守る

・疲労や息切れがみられたら、途中でも介助に切り替える判断をし、声をかける

【まとめ】

・カニューレは装着したまま、口腔内はやさしく丁寧に清拭

・顔まわりの皮膚観察と、回路位置の確認がポイント

・呼吸状態に変化がないかを常に観察、吸引器の準備も忘れずに

・自立度に応じたサポートで、快適さと安全を両立するケア

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