尿の色、ちゃんと見てる?“色別サイン”と今すぐ活かせるケアの視点

呼吸器内科
2025.08.6
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 尿の色には、身体の異変を知らせる大事なサインが隠れていることもあります。

 脱水、感染、薬剤の影響、肝機能障害など――。

 特に「濃縮」「混濁」「褐色」「紫」など、判断に迷いやすい尿の色は、的確な観察と報告の視点がカギになります。

 今回は、尿の色から読み取れるサインと、それに対応するケアとアセスメントのポイントについてお伝えします。

透明~淡黄色(水のような無色~淡い黄色)

考えられる状態
水分過多、利尿薬使用時、正常範囲

追加で観察する情報
尿量(多尿傾向か)、服薬内容(利尿剤の有無)
口渇・浮腫・脱水症状の有無

ケアのポイント
多尿が続く場合は水分・電解質バランスを確認
利尿薬使用時はK・Naなどの電解質モニタリング

濃黄色(やや濃い黄色、におい強め)

考えられる状態
水分不足、発汗後、朝一番の尿

・追加で観察する情報
水分摂取量、発汗・下痢などの有無
尿比重・BUN・クレアチニンの変化

・ケアのポイント
水分摂取を促す、脱水リスクの早期発見
バイタルと尿量の推移を記録・評価する

茶色~褐色(コーラ色、紅茶色、泡立ちあり)

考えられる状態
横紋筋融解症、肝機能障害、薬剤(リファンピシン等)

・追加で観察する情報
筋肉痛・発熱・全身倦怠感
肝機能値(AST・ALT・ビリルビン)、CK値

・ケアのポイント
直ちに医師へ報告し検査依頼
排尿パターンの変化・全身症状とセットで記録

赤色・ピンク色(赤色~ワイン色の尿、泡なし)

考えられる状態
尿路感染、尿路結石、膀胱炎、腎疾患、がん

・追加で観察する情報
排尿時痛、頻尿、背部痛の有無
採血(CRP、白血球、腎機能)データ
尿検査(潜血・蛋白・細菌)データ

・ケアのポイント
緊急性を判断し、即医師に報告
症状・既往歴・感染徴候について詳しくアセスメント

混濁・白濁(白っぽく濁る、沈殿物あり)

考えられる状態
尿路感染、細菌・膿・リン脂質などの混入

追加で観察する情報
発熱、排尿痛、悪寒、頻尿、残尿感
尿培養検査データ

ケアのポイント
医師へ報告し、尿培養や抗菌薬の指示確認
水分補給・陰部保清ケアも忘れずに

紫色(尿バッグ・チューブが紫に変色:尿自体は茶〜赤褐色)

考えられる状態
PUBS(尿路感染+腸内細菌による色素反応)

追加で観察する情報
留置カテーテルの期間
便秘の有無
尿のにおい、発熱、バイタルサイン、意識レベル

考えられる原因
トリプトファン代謝産物(インジカン)+細菌による酸化で色素生成
主に便秘+尿路感染+アルカリ尿+長期カテ使用患者に起こる変化

ケアのポイント
医師へ報告し、尿培養・抗菌薬の使用を確認
尿カテーテル管理の見直し
排便コントロール
紫色はバッグ・チューブのみに出現することが多いため、焦らず患者の様子を確認し対応する

【まとめ】

・透明:水分過多や利尿が疑われ、水分バランスを確認

・濃黄:軽度脱水が疑われるため、補水とバイタルチェック

・茶色:筋障害や肝障害を疑い、医師にすぐ報告し検査を検討

・赤色:血尿、出血を疑い、排尿症状と全身状態を合わせて医師に報告

・混濁:感染や炎症を疑い、培養検査や感染に応じたケア実施

・紫色:細菌感染だけでなく、長期カテーテル留置や便秘なども関連していることを理解しケアする

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