ネーザルハイフロー使用時の食事中のケアのポイント

病院
2025.07.23
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ネーザルハイフロー(NHF)は、高流量の加温・加湿酸素を鼻カニューレで投与する酸素療法です。鼻カニューレを使うNHFは、食事がしやすいというメリットがありますが、食事中も呼吸のサポートが欠かせません。「食べられるから大丈夫」とは限らず、呼吸状態や表情、SpO₂の数値をよく観察して、今食べて大丈夫か判断することが大切です。NHF装着患者食事中の看護のポイントをまとめます。

ネーザルハイフロー装着患者の食事時のケアのポイントについて食前、食事中、食後と場面と分けて解説します。また、観察項目についてその理由と対策を表にまとめます。

食前には呼吸状態と口の中をチェック!

【食事前】

食前には、SpO₂・呼吸数・表情・むせの有無・痰の量を確認しましょう。
口腔内の分泌物が多いと誤嚥リスクが高まるため、口腔ケアと保湿、必要時には吸引を行い、「安全に食べられる状態か」を見極めることが大切です。

姿勢を整える

ベッドの背上げは、自分で食べれる患者は60度、介助が必要な場合には30〜45度が基本です。患者がしんどくない・自然に食べられる無理のない呼吸が確保できる姿勢を調整しましょう。
背中が丸くなっていたら枕の高さを調整したり、おしりが前に滑っていたらタオルで支えたりします。端坐位保持ができる患者で、足がブラブラしている場合には、足台を使って安定させましょう。

呼吸状態の観察

【食事中】

食事中は呼吸の苦しさ・咳込み・表情の変化に注意します。急なSpO₂低下が見られた場合は、すぐに食事を中止し、医師へ報告しましょう。
カニューレがずれていないか、チューブに負荷がかかっていないかも確認しながら、呼吸の確保に注意しましょう。また、「一口ずつ、ゆっくり食べましょう」などの声かけも、患者さんが安心して食べられる環境づくりにつながります。

食後の観察までがワンセット!

【食後】

食事の後はすぐに横にならず、可能であれば30分ほど上体を起こした姿勢を維持します。
食べたものの逆流・誤嚥リスクを減らすためにも、口腔内の食べ残しや分泌物をチェックしながら、角度をつけた姿勢のまま呼吸状態の観察を行ないましょう。
口腔内に食物残渣や分泌物が溜まっているときには、吸引やスポンジブラシなどで清拭を行いましょう。

また、食後に息苦しそうな様子がないか、SpO₂の変化も忘れずにチェックしましょう。

ネーザルハイフロー使用中の食事中の観察ポイントまとめ

観察項目理由ケアのポイント
呼吸状態
(呼吸数・表情・努力呼吸)
食事中に酸素低下や誤嚥リスクがあるしんどそうなら食事の中断・休憩を提案
SpO₂の数値食事中の動作や緊張で低下することがあるこまめに確認し90%以下なら中断・報告
むせ・咳込み痰や唾液、食材が気道に入りかけているサイン食事を一旦中止し吸引や口腔ケアを行う。
姿勢も再確認
咀嚼・嚥下の様子誤嚥リスクを高めないため「少しずつ食べてね」と声かけ。ひと口量を調整する
カニューレや回路のずれ・圧迫食事動作でずれて酸素がうまく供給できないことがあるカニューレや回路の位置をこまめに確認し、必要時には調整する
食べ方の癖(口の動き・片側に食べ物がたまる)片麻痺や高齢者では口の中に食べ残しが出やすい食事後に口腔内チェック。必要なら軽く吸引またはふき取り

【まとめ】

  • ・食時前にはSpO₂と口腔内をチェックする。乾燥や分泌物があるときは、保清ケアと保湿、必要時は吸引を行う
  • ・食事中は自然に食べられるしんどくない体位を調整する
  • ・少量ずつ・ゆっくり食べる声かけを行う
  • ・鼻カニューレのずれや回路の位置、引っ張りがないかに注意
  • ・呼吸状態の観察は適宜行うい、状態悪化時には医師に報告する
  • ・食後30分は座位を保ち、再度口腔ケアを実施する

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