0件のコメント
呼吸器内科
2023.09.7
SpO₂ 100%はなぜダメなのか

酸素投与中の患者さん。酸素の調整は看護師に任されているけど、やっぱり低いと不安だな。
引き継いだ時からずっとSpO₂ 100%だけど高いほうが安心だから100%でもまあいいか。 ちょっと待った!100%でほんとに大丈夫?


SpO₂:経皮的動脈血酸素飽和度は一般的に用いられる酸素化の指標ですね。

低いときは酸素投与量を増やすけど、高いときにしっかり酸素投与量を減らしていますか?高ければ安心ってものでもないんです。100%に潜む危険とは?

1.SpO₂が高すぎると過剰な酸素投与に気づくことができない

SpO₂が100%のとき、予測されるPaO₂(動脈血圧酸素分圧)はどれくらいでしょう?
答えは100~500㎜Hg。これは幅が広すぎですね。つまりどれくらい酸素が過剰に投与されているか全くわからなくなってしまうんです。


2.過剰な酸素投与の弊害

酸素は生命の維持に必要なものですが、過剰になると体にとって有害になってしまうことも。

・活性酸素の増加(体の細胞が酸化ストレスにさらされてしまう。老化と同じ)
・吸収性無気肺(肺胞内の酸素が取り込まれてしまうことで肺胞が虚脱。無気肺ができてしまう)

3.患者さんの変化に気づけない

例えば痰が溜まると酸素化が変動してしまう患者さんの場合。過剰な酸素を投与していると、実は酸素化が悪くなってもSpO₂が変動せず、SpO₂が下がり始めた時には大きな変化が起こってしまっているかもしれない。
患者さんの変化に気づくためにも過剰な酸素投与は避けなければいけません。


4.どれくらいに調整すればいいの

医師から指示があればその指示に従いますが、一般的に94%程度あれば充分です。循環器疾患などで酸素が多く必要な状態や患者さんの呼吸困難感などがあれば、状況に合わせて高めに設定することもあります。逆にCOPDなどの慢性的に酸素が低い患者さんであれば、過剰な酸素投与を行うことでCO₂ナルコーシスを引き起こすリスクもあります。

【まとめ】

SpO₂ 100%には危険もある。

・過剰な酸素投与に気づくことができない  
・患者さんの変化に気づくことが遅れる
・状態に合わせて適正な酸素量の調整が必要

Share
  • Facebook
関連記事
ページトップ