カルテには多くの情報が詰まっています。すみからすみまで全部をみて理解し患者さんのケアにあたればよいのですが、患者さんの人数、疾患、タイムスケジュール色々な状況を考えると全ては難しい。 そこで、今回は呼吸器内科の患者さんのケアにあたる場合に必ず押さえたいバイタル等の情報となぜ必要なのかをお伝えします。
1.熱
どの疾患においても熱型は大事な情報。呼吸器疾患も感染兆候を見る上で大切な情報元です。誤嚥性肺炎では、呼吸状態は変化がないのに急に熱が出ることがあるので注意が必要です。
そして感染や病状が悪化し発熱する以外に、胸腔ドレーン挿入者が行う胸膜癒着術の後には処置後発熱することもあります。 発熱があるという情報を得たなら、その背景には何が考えられるかという視点が大切となります。
2.呼吸回数 呼吸音
呼吸状態を比較するのに上記の項目は必須です。患者さんの通常の呼吸回数を把握していれば呼吸状態含め全身状態が悪化しているかどうかが判断できます。救命時には大切な情報となります。
そして呼吸音には色々な表現はあります。 捻発音1つでも、呼び方が「ファインクラックル」や「細かい断続生ラ音」「捻発音」等いろいろあります。 まず、呼吸音の異常があるのかどうか、どこに異常音があるのか、異常音が増えたのか減ったのか情報を読み解くとよいです。
3. 血液データ
熱同様、感染兆候を見る上で白血球数とCRPは一番わかりやすいデータです。発熱前に増加がみられた場合は早期の処置や対応ができます 血ガスではpH、PaCO2、HCO3をみます。CO2の換気状況によってpHが変動、肺はもちろん腎臓に影響が及びます。変動があった場合は処置や輸液等が変更になることも考慮できます。
4.レントゲン・CT
レントゲンやCTは視覚的に異常がわかります。陰影などの場所に異常があるかポイントを絞ることもできます。 参考書で正常な画像の勉強をするのも良いですが、実際関わる患者さんの画像を見て実際の症状と一緒に学ぶことをお勧めします。もし、わからないこと曖昧なところがあったら手が空いた担当医にそれとなく聴くと勉強にもなる上い良いコミュニケーションが取れます。
【まとめ】
1 熱は様々な疾患の情報源。 誤嚥性肺炎では急な発熱が呼吸状態に変化なしで発生することがあるので注意が必要。
2呼吸回数と呼吸音は患者の全身状態を判断するのに必要。呼吸音の異常や変化を詳細に観察し、情報を読み解くのに有効。
3血液データでは白血球数とCRPは感染兆候を示す。血ガスデータでpH、PaCO2、HCO3をチェックし、処置や輸液の変更がなされることを想定しておく
4レントゲンやCT画像は視覚的に異常を認知しやすい。正常な画像の理解すると共に患者の画像を実際に見て学びを深める。