がん治療によく用いられる化学療法。投与には準備からレジメンの遵守、投与時の注意点、そして副作用まで理解が必要です。今回はこれらをわかりやすくまとめました。
1. 投与準備前・準備時
レジメンの内容と投与時間の確認です。薬剤投与のタイミングは薬剤の効能にも副作用にも影響します。 患者の個別の状態によってレジメンは調整されます。レジメンをみて少しでも疑問がある場合は薬剤師や医師に確認しましょう。
そして、化学療法では、抗がん剤の投与前から終了後まで抗がん剤の暴露に注意が必要です。前投与薬に接続している針の抜き差しは問題ありませんが、抗がん剤の抜き差しでは暴露が起こります。接続や抜去等の際は暴露予防のため個人防護具の着用が必須です。その際手袋はバリア効果と化学薬品に対する抵抗性防御効果があるニトリル手袋を使用しましょう。
また、薬剤によってはポリ塩化ビニル製の物品からDEHPが溶出することがあります。レジメン同様どの薬剤が溶出させてしまうかわからない場合は薬剤師等に確認しましょう。
2. 投与中
化学療法中薬剤が血管外に漏れた場合、壊死のリスクがあります。漏えいを発見したら早急な対応が必要です。
薬剤によっては、点滴を中止後医師の指示のもと点滴ラインに注射器を接続し薬液血液を吸引しながら抜針。その後指示に従いステロイド剤の局所注射をし、冷湿布の貼付等の処置が必要となります。
血管漏えいした際の一般的な対処法は記載された方がよろしいかと思います。「点滴を中止する。留置針やルート内の薬剤を吸引する、そして抜針する。」などです。 抗がん薬による血管外漏出の程度は薬剤の種類と漏出量により異なります。血管漏えいを早急に発見できるよう観察と対応のマニュアルの準備が必要です。
3. 投与後
化学療法が終わっても化学療法による静脈炎が発生する可能性があります。投与後も点滴刺入部の観察は大切です。発症した場合は直ちに報告と処置が必要となります。 そして、投与後24時間以降に発生する腫瘍崩壊症候群は化学療法が有効な腫瘍で発生する頻度が高いです。初期症状での発見が難しいため、化学療法後は水分補給や服薬などの予防策が不可欠です。もし尿量の減少やショック症状が現れた場合は腫瘍崩壊症候群の可能性を意識し、即時にバイタルをとり報告処置対応していくことが必要となります。
【まとめ】
<化学療法の投与前・準備時>
– レジメンと投与時間の確認が不可欠。患者の個別の状態によってレジメンは調整される。レジメン内容や投与方法に疑問がある場合、薬剤師や医師に確認が必要。
< 投与中の注意点>
– 血管外漏れに早急な対応が必要。観察と漏れ対応のマニュアルの準備を事前に。
<投与後のケア>
– 投与後も静脈炎に注意が必要。 −腫瘍崩壊症候群の発症は予測できないため予防策と観察が不可欠。症状の変化には迅速に対応し、患者の安全を確保することが必要。