在宅酸素療法中の患者さんの使用酸素量が増えた場合、外出時の携帯用酸素ボンベの節約が課題になります。
外出時間中の必要な酸素を確保するために酸素ボンベが数本必要になってしまい移動がおっくうになる。そんな困った状況になることもあります。
そんな時に使えるのがリザーバー式酸素カニューレです。今回は酸素を節約しながら酸素吸入ができるリザーバー式酸素カニューレについてお伝えします。
1.リザーバー式酸素カニューレとは?
チューブの途中にリザーバーというスペースがついた鼻カニューレ。呼気時(酸素を吸わない時)このスペース(リザーバー)に酸素が貯まるので、次の吸気でその分の酸素が併せて提供される仕組みです。
そのため同じ流量の酸素量より多くの酸素吸入をすることができるカニューレです。
形状は2種類あります。
・ひげ型:患者の鼻孔の下に呼気に酸素と貯めるタイプ
・ペンダント型:胸元にリザーバー部があるタイプ
2.リザーバー式酸素カニューレの特徴
リザーバー式酸素カニューレは、従来の標準カニューレより最大75%の酸素を節約することができます。そのため使用する酸素量を減らし、携帯酸素ボンベの持続時間を伸ばすことができます。リザーバー式酸素カニューレは、常時3L/分から6L/分の酸素吸入が必要な患者に最適です。
リザーバー式酸素カニューレで3L/分の酸素を使用する場合、標準カニューレ5L/分以上の効果、リザーバー式酸素カニューレ5L/分では、標準カニューレ7L/分以上の効果があります。酸素流量が増えても酸素マスクの使用を避け、カニューレを使用して生活することができます。
また、リザーバー式酸素カニューレは、在宅酸素濃縮器にも接続可能です。在宅酸素療法においては、主治医から酸素流量の指示が出た際(初回時)に、通常カニューレ及びオキシマイザーそれぞれの労作時・安静時等の酸素流量の指示を頂くことが原則となります。
3.どんな方がリザーバー式酸素カニューレがおすすめなのか?
リザーバー式酸素カニューレの変更は次のような方がなどがおすすめです。
・通所サービス利用時や受診時に酸素ボンベの持ち時間の節約したい
・鼻の粘膜への刺激や不快感がひどい
・酸素カニューレ3L/分て通常は苦しくないが食事や移動やトイレで苦しくなる、もしくはSPO2が低下する このように、高濃度の酸素を少ない酸素流量で使用したい酸素療養者にとってリザーバー式酸素カニューレはQOL向上に役立ちます。
【まとめ】
・リザーバー式鼻カニューレは吸気以外の時に酸素を貯め、次の吸気時には流量以上の酸素吸入可能。
・最大75%の酸素節約で携帯ボンベの残量心配なく外出行動範囲拡大、長時間外出も可能。
・酸素流量増加時に鼻粘膜不快感軽減、動作時の吸入が安楽。在宅酸素療養QOL向上に寄与可能。