乳幼児期にアトピー性皮膚炎を発症する子どもは、年齢に応じて、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの他のアレルギー疾患も発症しやすいです。このような連鎖を「アレルギーマーチ」と呼びます。 乳幼児期のスキンケアはアレルギーマーチの予防に効果があると注目されています。乳児期のスキンケアの必要性と方法を理解しましょう。
乳幼児のスキンケアの必要性
皮膚を通過しアレルゲンが体内に侵入することで、アレルギー反応を引き起こすことを経皮感作と言います。 皮膚のバリア機能が低下している状態は、アレルゲンが体内に侵入しやすく経皮感作が生じやすいです。効果的なスキンケアで皮膚のバリア機能を高め、アトピー性皮膚炎の発症を予防しましょう。
スキンケアの方法
①保清
石鹸は赤ちゃん用の石鹸を使用します。泡で全身を洗い汚れをしっかり落としましょう。皮膚が密着している部位は汚れが溜まりやすい部位です。耳裏や首、脇の下、関節、鼠径部などをしっかり洗いましょう。洗った後は石鹸のすすぎ残しがないようにします。 首周りはよだれやミルクのこぼしなどで汚れやすい部分です。日中でも気になる場合は、濡らしたガーゼなどで拭きましょう。
②保湿
入浴後、保湿剤を顔や全身に塗ります。ティッシュが張り付いて落ちないくらいにベトベトした状態が適量です。肘や膝などの乾燥しやすい部位や、顔やお尻など繰り返し拭く部位は、こまめに保湿することを心掛けましょう。
③外用薬の適正使用
湿疹などの症状が見られ改善しない場合は、皮膚の炎症を抑えるためにステロイド外用薬が処方されることがあります。ステロイドは怖いと感じている保護者も少なくありません。適正使用でしっかり治し、治ったら保清と保湿で予防していくことが重要であることを説明します。
外用薬は入浴後、水分を拭き取ったらすぐに塗ります。湿疹があるところのみに塗布しましょう。大人の人差し指の先端から第一関節まで軟膏を出した量を1FTU(フィンガーチップユニット)と言います。
0.5g程度で大人の手のひら2つ分くらいの範囲に塗れる量です。1回量が何FTU必要か医師に確認し使用し、併せてどんな状態になれば終了していいか確認しておきましょう。
【まとめ】
・保清(保湿・清潔):定期的な入浴や洗顔を行い、皮膚の清潔を保ち保湿を行うことが重要
・保湿:保湿剤を適切に使用し、皮膚の水分を補給し湿潤な状態を保つことが大切
・外用薬の適正使用:外用薬の誤った使用は皮膚トラブルを引き起こします。適切な使用方法を守りましょう