患者さんの状態が急変し、急いで12誘導心電図を取らなければならない場面に遭遇したことはありませんか?
12誘導心電図の繊細な作業に苦手意識を持つ方も多いかと思います。しかし、正しいポイントを押さえれば、スムーズに行うことができます。今回は、そのポイントをお伝えします。
1. 12誘導心電図とは
12誘導心電図は、胸部誘導(V1: 赤、V2: 黄、V3: 緑、V4: 茶、V5: 黒、V6: 紫)と四肢誘導(aVR: 赤、aVL: 黄、N: 黒、aVF: 緑)から成ります。胸部誘導は、電極を貼った場所から心臓の中心に向かう視点で観察します。V1は右心室、V2〜V4は左心室の前壁と心室中隔、V5とV6は左心室の側壁を見ます。四肢誘導では、黒い電極はアースで余分な電気を逃がします。双極誘導は2つの電極の電位差を測定し、単極誘導は特定の方向から心臓を観察します。
2. 四肢誘導と胸部誘導どちらからつける?
12誘導心電図は安静な状態でとる必要があるため、まず四肢誘導から始めます。四肢誘導を装着することで、患者さんは検査を意識し、安静になります。安静が保てた状態で胸部誘導を貼ると、患者さんはリラックスしています。
3. 四肢誘導から得られる情報
四肢誘導からは、発作性頻脈など短時間で収まる頻脈に対する情報が得られます。胸部誘導を貼らなくても、四肢誘導(aVF、aVLなど)だけで頻脈発作の原因を特定するヒントになることがあります。そのため、装着したら一度誘導画面を確認することをお勧めします。
4. 貼付部位
電極を貼付する場合、四肢誘導より胸部誘導の貼付は6箇所もあり悩まれることが多いです。胸部誘導の貼付手順はこちらです。
電極の貼り付け手順は、まず第1肋間から出発し、右側にC1、左側にC2を見つけます。その後、C4は第5肋間と鎖骨中線の交点に、C6は同じ高さで胸板の中間に、C5はC4とC6の中間点に貼り付けます。肋間が見つからない場合は、C1とC2は乳首の高さ、C4は左乳首真下に貼付けるようにします。
肥満の患者さんで肋間が見つけにくいことがあります。この場合は、C1とC2は乳首の高さ、C4は左乳首真下あたりに貼付するとよいでしょう。
5. 胸部電極の順番の覚え方
胸部電極の順番は覚えやすい方法で覚えましょう。例えば、「せきぐちくん」や「あきみちくん」といった語呂合わせがあります。最近の十二誘導心電図装置には、電極やリードにC1〜C6までの数字が記入されています。装着順を確認し、間違いがないようにしましょう。
6. 胸部誘導のシールを早く貼るコツ
胸部誘導のシールを早く貼るには、V2から始めると良いです。V2を基準にV1(右側)を貼り、その後V4、V3、V5、V6の順に貼ると効率的です。
7. 心電図を取るときの羞恥心の考慮点
検査技師だけでなく、看護師も患者さんの羞恥心や快適さを考慮することが重要です。セッティングができたら患者さんの羞恥心に配慮し、胸元にタオルをかけたりカーテンを使うなどして環境を整えましょう。
【まとめ】
– 12誘導心電図は患者が安静な状態で四肢誘導から始める。
– 肋間が見つからない場合は、胸部電極を乳首の高さに貼付ける。
– 胸部電極の順番は語呂合わせで覚え、胸部誘導のシール貼りはV2から順に行う。
– 患者の羞恥心に注意し、検査の環境を整える。