NPPV(Non-invasive Positive Pressure Ventilation:非侵襲的陽圧換気)は、呼吸を補助するための重要な機器です。食事中や寝返りの際にマスクがずれたり、空気が漏れたり、また長時間の装着によって皮膚トラブルが発生することがあります。今回は、これらの問題に対する具体的な解決方法をご紹介します。患者さんの快適さと安全を守るためのポイントを詳しく説明します。
マスクのズレと空気漏れを防ぐ
食事中や寝返りでマスクがズレることがあります。これを防ぐためには、患者の顔の形に合ったマスクを選びましょう。また、多少の隙間があっても許容範囲内のリークであれば問題ありませんが、皮膚のシワや骨格による隙間には皮膚保護用フィルムを使用すると有効です。NIPPVマスクからの空気漏れが発生しやすい場所は、主に口角や鼻筋の周囲です。空気漏れを防ぐためには、以下の点を確認しましょう。
まず、マスクが曲がっていないかをチェックし、次にマスクのベルトが緩すぎないか、またはきつすぎないかを確認します。ベルトがきつすぎると、逆に隙間が生じる原因になります。マスクの位置を確認しながら、ベルトを均等に装着し、空気が漏れないように調整しましょう。
皮膚トラブルの予防
長時間のマスク装着によって皮膚トラブルが発生することがあります。これを防ぐためには、いくつかの対策が有効です。まず、2種類のマスクを使い分けること。マスクを変えることで、同じ部位に圧迫や摩擦がかからないようにします。また、回路の重みが皮膚に負担をかけないように回路を支持することも大切です。マスクベルトを調整し、クッション性のある皮膚保護材で除圧を行いましょう。さらに、皮膚の保護フィルムや保湿を行い、清潔を保つことが重要です。
医療機器圧迫創傷(MDRPU)が起こりやすい部位には、あらかじめ皮膚保護剤を使用することをおすすめします。ココロールなどの皮膚保護剤は粘着力が弱くクッション性があり、繰り返し使用できます。特に前額、下顎、鼻根から頬部にかけては、これらの保護材を貼って圧迫を軽減します。
目の乾燥
NIPPVの上部から空気が漏れると、目に湿度の低い空気が当たり、乾燥することがあります。これを防ぐために、ベルトを調整して空気漏れを防ぎます。それでも乾燥する場合は、点眼薬を使用したり、NIPPVの機器に搭載されている加湿機能を使用することをおすすめします。
胃部膨満や嘔気嘔吐
NIPPVから陽圧で換気することで、空気嚥下により胃部膨満や嘔吐を誘発することがあります。症状に応じて温罨法や腹部マッサージなどの対症療法で緩和を図ります。症状が改善しない場合は、担当医と相談してNIPPVの設定圧の変更を検討します。
NIPPVマスクを適切に使用することで、患者さんの快適さと安全を保つことができます。日々のケアに役立ててください。
【まとめ】
-マスクがズレないように顔に合ったマスクを選び、フィルムで隙間を補正
-空気漏れはベルトの緩さ・きつさを調整し防止する
-皮膚トラブルはマスクを使い分け、保護材や保湿で予防する
-目の乾燥は点眼薬や加湿機能を使用を
-胃部膨満や嘔吐は対症療法や設定圧の変更を検討