ベッド上で食事を摂る患者さんの食事準備時に日常的に行っているポジショニング。実は食事時のポジショニングはとても奥が深い看護技術のひとつです。誤嚥予防とQOLの向上につながる、ポジショニングについて一緒に確認していきましょう!
ベッド上で食事をとる患者さんのポジショニングについて「ギャッジアップ30度〜60度」だけを意識していませんか?
食事時のポジショニングは、単に「背中を起こす」だけではありません。患者さんの誤嚥予防やQOLを守るために大切な看護技術になります。
患者さんの頭部や体幹、下肢、足底まで整えることで、嚥下がスムーズになり誤嚥のリスクを下げることができます。
また、姿勢を整えることで身体の負担が軽減し、食事摂取が進む可能性にもつながります。
【ポジショニングの基本的な順番】
1)ギャッジアップ

まず初めに、患者さんの骨盤(坐骨結節)をベッドの折れ曲がる部位に合わせます。次に足側から先に上げ、頭部を上げます。患者さんの呼吸状態や嚥下機能に応じて調整しましょう。高すぎると腹部を圧迫して苦しくなり、低すぎると飲み込みが難しくなるので注意が必要です。背抜き、足抜きも忘れずに行いましょう。
患者さんの状態に合わせ、ギャッジアップを行います。ギャッジアップ30度は誤嚥しにくい高さとされており、介助で摂取する場合に適しています。自分で摂取する場合は60度に起こすと食事が見え、自力摂取が可能です。座位が取れる場合はしっかり上体を起こし、背抜きを行いましょう。
2)骨盤と体幹を安定させる
ずり落ちを防ぐため、必要に応じて腰部や仙骨の下にクッションを入れます。骨盤が安定することで体幹もまっすぐ保ちやすくなります。
3)頭部と頸部の調整

枕やタオルを使って、頭部が軽く前傾になるよう支えます。後屈してしまうと誤嚥リスクが上がるため、「軽くうなずく姿勢」を意識します。
4)下肢の安定

膝を軽く曲げ、足底がしっかりベッドマットや足あてクッションにつくよう調整します。なぜなら、足が宙に浮いた状態では、嚥下に必要な体幹支持が弱くなるからです。
5)オーバーテーブルの高さ調整

オーバーテーブルは、患者さんの肘が自然に曲がり、スプーンを口に運びやすい高さに設定します。高すぎても低すぎても患者さんの姿勢が崩れ、誤嚥のリスクが高まります。
などがあれば使用し、破片があちこちに飛び散ることがないようトレーの上で作業を行います。
【まとめ】
・患者さんの状態に合わせたベットアップをしましょう。
・患者さんの骨盤をベッドが曲がる位置に合わせましょう。
・膝から上げましょう。
・骨盤と体幹を安定させましょう。
・頭部は前傾姿勢になるよう枕やタオルも使用しましょう。
・足底がベッドマットやクッションにしっかりついているか確認しましょう。
・オーバーテーブルは患者さんが食べやすい高さに合わせましょう。



