【国試113回】正答率が低かったこの問題、あなたは解ける?“R-CHOP療法、初日に起こる合併症”の落とし穴とは

国家試験対策
2025.11.26
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2024年の「第113回看護師国家試験」では、正答率が低かった問題の一つに“R-CHOP療法の初日に起こり得る合併症”を問う問題がありました。

選択肢には、好中球減少症や口内炎など、いずれも化学療法の副作用として見覚えのある内容ばかり。

実際、選択肢で迷った方も多かったようです。

今回は、なぜ「腫瘍崩壊症候群」が正解なのか「いつ起こるか」という“タイミング”に注目して深掘りしていきます!

【第113回 看護師国家試験 午後問題95】

Aさん(43歳、男性)は非Hodgkinリンパ腫と診断され、R-CHOP療法が導入された。
この初日に生じる可能性がある合併症はどれか。
1.脱毛 2. 口内炎 3. 低血糖 4. 好中球減少症 5. 腫瘍崩壊症候群

正答:5. 腫瘍崩壊症候群(TLS)

でも実際は「好中球減少症」や「口内炎」を選んだ人も多かったようです。
なぜ 腫瘍崩壊症候群 が正解なのでしょうか?

化学療法といえば「脱毛」「口内炎」「好中球減少」などの副作用をイメージしがちですが、これらは投与から1〜2週間後に出やすい副作用です。
しかしこの問題で問われているのは「初日に起こる可能性がある合併症」。
だからこそ、治療直後から起こりうる『腫瘍崩壊症候群(TLS)』を選ぶ必要があります。

腫瘍崩壊症候群は、化学療法によって腫瘍細胞が急激に壊れ、体内にカリウム・リン・核酸が一気に放出されることで発症します。
この変化により、高カリウム血症、不整脈、腎機能障害、嘔気・嘔吐、尿量減少などを引き起こすリスクがあります。

特にリンパ節や臓器に腫瘍がかたまりを形成しやすい血液疾患では、治療開始後12〜72時間以内に腫瘍崩壊症候群が発症しやすく「治療初日」から注意が必要です。

予防としては、治療開始前からの十分な水分投与や尿量管理、電解質のモニタリングが重要。
症状が出た場合は、迅速なバイタル測定と報告、点滴管理、必要時には透析を含む対応が求められます。

この問題のポイントは「合併症そのもの」ではなく、“いつ起こるのか”というタイミングの判断力。
選択肢が全部もっともらしく見えるときは、「何日目に起きるか」に注目してみてくださいね。

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