先輩看護師から「Aさんの酸素を5L/minから3L/minに下げたから、もう蒸留水(加湿)は要らないよ」と言われたけれど「なぜ3L/minだと加湿が不要なのか」をきちんと説明できますか?ルールとしてわかっていても、理由をきちんと理解できないと、後輩に質問された時に応えられず焦ることになりかねません。この記事では酸素3L/min以下で加湿が不要な理由を解説していきます。
なんで3L/min以下では加湿が不要なの?

酸素療法で「鼻カニューレ3L/min以下なら加湿はいらない」と聞くことがあります。これは日本呼吸器学会、日本呼吸管理学会、米国呼吸療法協会など複数のガイドラインで示されている考え方です。では、なぜ低流量では加湿が不要なのでしょうか。
スバリ!低流量では“吸い込む空気のほとんどが室内空気”だから

鼻カニューレは低流量で酸素を供給するデバイスです。流量が小さいと、患者さんの吸気全体に対して酸素が占める割合はごくわずかになります。
例:鼻カニューレ3L/minの場合
患者さんの呼吸条件の仮定: 1回換気量 500ml、吸気時間 1秒
吸気時間は1秒なので、3L/minを60秒で割ると3000ml/60秒=50mLとなります。これは1秒あたりに鼻カニューレから得られる酸素量=50mlということです。この患者さんの1回換気量は500mlなので、1回の吸気で500ml吸い込めるけれど、そのうち鼻カニューレから供給される酸素はわずか50mlということです。すなわち吸気のほとんどは室内の空気であり、その空気は鼻腔の本来の加湿機能で十分に調整されます。
このため、3L/min以下では加湿の恩恵が少ないと判断されます。
ベンチュリーマスク8L40%でも同じ理由
患者さんの呼吸条件の仮定:1回換気量500ml、吸気時間1秒
高流量酸素の場合、酸素供給量は「供給酸素量/1回換気量÷設定酸素濃度-21/100-21」で求めることができます。この患者さんに当てはめると、
供給酸素量/500÷40-21/100-21=96.202…
となります。例同様に、吸気時間1秒なので、その際にベンチュリーマスクからの供給される酸素量は約96ml。1回換気量500mlのうち、ベンチュリーマスク由来の酸素は約2割相当となります。
ガイドラインによる具体的な基準

各学会のガイドラインのニュアンスには若干の違いがありますが、まとめると以下のようになります。
・日本呼吸器学会・日本呼吸管理学会:鼻カニューレでは3L/minまでは加湿不要
・ベンチュリーマスクでは酸素流量に関係なく酸素濃度40%までは加湿不要。
・米国呼吸ケア協会:鼻カニューレ4L/min以下の酸素流量では加湿は不要。
・酸素を加湿して取り込むよりも、室内の湿度を適切に高める方が効果的。
つまり、「酸素が吸気全体のごく一部である」状況では、加湿のメリットが小さいため、必ずしも必要がないという訳です。
まとめ
・鼻カニューレ3L/min以下では、酸素システムから吸い込む酸素の割合が小さく、自身の鼻腔の加湿機能で十分である。
・鼻カニューレでは3L/minまでは加湿不要。
・ベンチュリーマスクでは酸素流量に関係なく酸素濃度40%までは加湿不要。



