看護学生の頃、実習で受け持った認知症の患者さん。認知症の進行で言葉での意思疎通が難しく何をするにもスムーズにいかず、私は焦っていました。とくに悩んだのは食事介助です。当時を振り返り、認知症ケアにおいて何が大切かを考えてみました。
患者背景と実習場面

老年看護の実習で私は認知症中等度の患者さんを受け持っていました。認知症の進行により言葉での意思疎通が難しい方でした。実習のなかで、一番難しく感じたのが食事介助です。食事を勧めても口を開かず怒ったような顔を表情を見せることが多かったです。私は食事介助がうまくいかずとても焦っていました。
振り返り-今ならどうするか

今振り返ると、患者さんは「なんでこんなことされるの?私は食べたくないのに。」「怖い人。早く終わって欲しい。」というわからない不安や支配される怖さなどを感じていたのかもしれません。
たとえ丁寧な声掛けでも、患者さんは焦らされていると感じていたのかもしれません。そのときの私は患者さんが最後まで食べきることを食事介助の目標としていました。患者さんのペースに合わせず食事を「はい、次これ」と急がせるような声のトーンになっていたのだと思います。私は真剣なあまり表情が硬くなり笑顔を忘れてしまっていたのでしょう。私の表情や動作は患者さんに「怖い」「嫌だ」といった感情を起こさせていたのだと思います。
「今は食べたくないんですね」
「ゆっくりで大丈夫ですよ」
などの声かけをし、穏やかな雰囲気で接することが大切ではないかと思います。そうすれば「この人は自分の気持ちをわかってくれる人」だと安心感が生まれ、少しずつ心を開いてくれることがあるでしょう。
学びとまとめ

「無理に食べさせられること」は誰にとっても不快です。その不快さは、認知症の患者さんも同じ。口を開かないのは「理解されていない」「コントロールされている」という心の拒否反応だったのかもしれません。認知症ケアでは、表情や声のトーンが相手に安心感を与えます。急かすのではなく、穏やかな声のトーンで相手に合わせた関わりをすれば、患者さんに受け入れられるかもしれません。認知症ケアで大切なのは「技術」ではなく「心でつながる」ことなのではないかと思います。



