摘便は、自分で排泄する事が困難になった患者様には欠かせない重要な看護行為です。
高齢の患者様が増える現代。その頻度も高くなり、多忙な看護業務の中で業務的な毎日のルーティンになっていませんか?
それ、本当にいいのでしょうか? 摘便が、患者さんにとって苦痛である事。そして、排泄という行為が人間にとって生まれ持った生理的欲求の1つである事。忘れていませんか?
摘便はどんな時に必要な看護行為でしょうか?
「自分で排泄が出来ない時」ですよね。
摘便をする前に、その患者様にとって本当に摘便が必要か?摘便という行為が最適で最良な方法なのかを判断する事は最も大切です。
そして実施時に忘れてはいけないのが、患者様の苦痛を最低限にする事。 ここでは私達、看護師にどんな工夫ができるのかを考えていきます。
1.摘便の苦痛を減らすには実施前が重要
上記で説明しましたが、看護師は仕事として行なっている事も、患者様にとっては大きな苦痛を伴う場合があります。摘便はまさにそれ!なので、なるべく安心して少ないリスクで行なう事が必要です。
摘便の苦痛軽減のために私達が出来る事を考えてみました。
- ・腹部を温める。
腹部を温める事によって血行が促進される他、筋肉の緊張がほぐれます。 - ・腹部のマッサージをする。
下腹部を「の」の字にマッサージする事で、腸の動きを促進させます。
2.実施中は患者さんに協力して貰う
意思の疎通が出来る患者様には協力して貰いましょう。
便を排出するタイミングで声かけをし、下腹部に力を入れてもらい腹圧によって排便をしている状態にします。
3.患者様に選択肢を!
最後に最も重要な事をお伝えします。
それは、摘便を実施するのか?下剤を使用するのか?の最終判断を患者様にして貰う事です。
もちろん、医療従事者によってそれまでの経過や病状を加味した判断は必要です。
それを踏まえた上で、意思疎通の可能な患者さまには、選択肢を提案しご本人に選んで頂きましょう。
現場によっては夜勤者や土日などスタッフの人数が少ない場合に限り下剤の使用を行なわない。というルールがあるかもしれません。
スタッフの負担を軽減させる事は必要ですが、患者様に不要な苦痛を与えない事は看護の基本です。そのために日頃から排泄状態のチェックを行ない、スタッフ側の理由で「摘便しか選択肢がない」という状況を作らない事に努めましょう。
【まとめ】
摘便は患者様にとって排泄行為!必要性と選択肢を今一度、要確認!!
- その患者様は本当に便秘の状態か確認する。
- 実施前に温罨法と、腹部のマッサージで苦痛の軽減に努める。
- 実施時はなるべく患者様に協力して貰う。
- 極力、実施の有無をご本人に選択して貰う。