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2024.03.17
胸腔ドレナージの仕組み

呼吸器科や救急の場面で遭遇する胸腔ドレナージ。患者の疾患によってドレナージの目的は異なり、観察項目が多岐にわたるため中には苦手と感じる方もいるのではないでしょうか。 今回は胸腔ドレナージの仕組みに焦点を当て解説します。

胸腔ドレナージは、通常肺の胸腔内に存在しない異物や異常な量の胸水、血液、または膿を排除する治療法です。

胸腔内は常に陰圧(約-5cmH2O)を維持しており、胸腔ドレーンを使用する際は低圧持続吸引装置を使い、-8から-15cmH2Oの圧力をかけます。 胸腔ドレーンの排液システムは、排液ボトル、水封室、吸引圧制御ボトルの3つのボトルから成り立っており、これを古典的な3瓶法(3連ボトルシステム)と呼びます。

1. 排液ボトル

胸腔から排液された内容物を収容するボトルです。

排液は定期的に排液をボトルに移し、排液量や性状を観察・記録します。

急増した排液量や血性の変化があれば医師に報告が必要です。状況によっては緊急手術の可能性も考えられます。

2. 水封室

胸腔内を無菌で閉鎖し、陰圧を維持するための水を入れる室です。水封室は滅菌水が蒸発する可能性があるため、長期間留置される場合は指定量の水が常に補充されているか確認していく必要があります。

水封室では下記の現象を確認します。

呼吸性移動: 呼吸の動きで水封室水面が動く現象。 エアーリーク: 肺からの気泡が水封室で確認できる現象

急に呼吸性移動が無くなった、エアーリークが増えた、エアーリークがあったのに急になくなり皮下気腫が増え患者さんが苦しがっているなどの異常があった場合、医師への報告が必要になります。

3.吸引圧制御ボトル

指示された吸引圧がかかるか確認するボトルです。

陰圧がかかると泡が発生します。陰圧の確認は定期的に行い、必要に応じて調整します。水封室同様に滅菌水の蒸発することがあるので各勤務で確認と補充を行いま

 これらのボトルを理解し留意点を観察し、病態に変化があれば迅速な報告が必要となります。  次回は、挿入患者さんの観察ポイントについてご説明します。

【まとめ】

– 胸腔ドレナージは異常な量の胸水や膿を排除する治療法。

– 胸腔内は常に陰圧を維持し、低圧持続吸引装置で-8〜-15cmH2Oの圧力をかける。

– 3瓶法(排液ボトル、水封室、吸引圧制御ボトル)が基本。 – 排液ボトルの排液急増や血性変化、水封室での呼吸性移動やエアーリーク異常時は報告が必要。

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