導尿は、感染予防のため清潔操作は必須であり、苦痛や羞恥心に対する患者への配慮も求められます。
また、尿閉の解消や検査・処置のために一時的に行うものから、長期的に留置するものまであります。
一時的な導尿は、持続的導尿が必要な場合でも、患者自身や家族が手技を覚えることで、間欠導尿で管理している人もいます。今回は一時的な導尿のポイントを解説したいと思います。
1.導尿をする目的
・排尿困難、尿閉、尿路閉塞、残尿感のある患者さん
・手術や分娩の前処置、検査
・尿による創部の汚染リスクのある患者さん
・膀胱内への薬剤注入
上記の患者さんに対して行われます。
2.リスク
尿道損傷のリスクがあるため、男性の場合は、陰茎を90度の角度にして、少し引き上げるように持ちます。また、事前に前立腺肥大の有無を確認しておく必要があります。前立腺肥大のある場合、カテーテル挿入時の尿道損傷により出血、感染を起こすリスクがあるからです。挿入時に強い抵抗を感じた場合は中止し、医師に報告しましょう。
女性の場合は10㎝挿入しても尿の排出がない場合、膣への挿入が考えられるため、もう一度消毒をしてやり直します。
また、尿路感染のリスクがあるため、導尿の必要回数を適切に判断し、清潔操作を厳守します。高齢者や膀胱直腸障害のある患者さんでは、尿が貯留し腹部が緊満していても無自覚であることが多いため、実施後も排尿状況や腹部の状態、本人の訴えに注意します。
3.観察項目
カテーテル挿入時の一般状態、挿入に伴う違和感や疼痛の有無、尿量、尿比重、尿性状(色、混濁、血尿、混入物の有無)、浮遊物やコアグラ(凝固した血液)の有無、尿道口の発赤・腫脹、下腹部不快感、尿意、残尿感の有無などを観察しましょう。
4.小児の場合
発達段階に応じて理解できるように説明をし、可能であれば協力を得ます。家族にも処置前に導尿の目的を説明しましょう。
乳幼児の体位保持は、両足を両手で開くように固定すると安定します。十分に説明しても、処置中に体を動かすことがあるので固定が必要になる場合もあるので、随時対応が必要です。成長に応じた適切なカテーテルを選択することで、リスクが軽減されます。
【まとめ】
・導尿の目的は尿閉の解消、前処置や検査、創部汚染の回避など。
・リスクは尿道の損傷、尿路感染など
・小児は成長に合わせて説明、対応が必要。