病院で入院している患者さんの移送で欠かせないのがストレッチャー。患者さんが乗っているため、ぶつかってしまったり大きな揺れは避けて移送したいものです。しかし、狭い廊下や左右に曲がるのは難しく、技術や経験が必要です。 今回は、ストレッチャーのスムーズな移送方法を紹介します。
ストレッチャー移送の注意点
1.ストレッチャーの準備
ストレッチャーで移送する際は、まず左右の柵のロックが確実にできているか確認します。また、点滴棒や膀胱留置カテーテル、ドレーンなどのルート類がストレッチャーにきちんと乗っているかを確認してください。
2.進行方向の確認
ストレッチャーを移動させる際、患者さんの足元が進行方向に向くようにします。これは、患者さんが進行方向を見ることで視界が広がるためです。頭側にいる看護師は、段差で揺れる時や曲がる時、エレベーターに乗る時などに声をかけて状況を伝えます。
3.看護師の役割分担
足元にいる看護師は前方の確認をしっかり行い、頭側にいる看護師は患者さんの観察と声かけを担当します。これにより異常の早期発見が可能となります。ストレッチャーは揺れやすいので、急な方向転換や大きな揺れは避けましょう。
4.坂道の移送
坂道を移動する際は、上るときは患者さんの頭を進行方向に、下るときは患者さんの足元を進行方向にします。これにより、患者さんの頭の位置を高く保ち、重力による体調不良を防ぎます。頭が低くなると血が頭に上りやすくなり、体調不良につながる可能性があるため注意が必要です。
5.曲がり方のコツ
ストレッチャーで曲がる際は、すぐに曲がらずにできる限り直進してから、頭部を中心に方向転換します。すぐに曲がると後方部分が曲がり切れずにぶつかる恐れがあります。曲がり角は余裕を持って曲がるようにしましょう。
【まとめ】
・ストレッチャー移送時、柵のロックとルート類の確認を徹底。
・患者の足元を進行方向にして移送し、看護師は状況に応じて声かけ。
・足元の看護師は前方確認、頭側の看護師は患者の観察と声かけ。
・坂道では頭を高く保ち、患者の体調に配慮。
・曲がる際は直進してから方向転換、後方の接触を防ぐ。