患者さんのケアでさまざまな悩む場面があると思います。今回は褥瘡予防や適切なケアについて、皮膚・排泄ケア認定看護師の山岸さんに伺いました。教科書を見ただけでは解決しない、褥瘡に関する実践的な疑問が解消できる内容となっています。明日から現場で役立つ貴重なアドバイスが詰まった、実践的な座談会をお届けします。
【座談会メンバー】
Aさん(山岸さん)
看護師歴26年、皮膚・排泄ケア認定看護師8年目
訪問看護に従事しながら、リフレクソロジー・フットケアサロンを開業
Bさん(大野さん)
看護師歴23年、病院・重度身体障害者施設を経験
Cさん(青木さん)
看護師歴30年以上、病院・重度身体障害者施設・訪問看護ステーションなどを経験
意外と盲点な「ズレ」対策
看護師A
褥瘡ケアの基本は、①除圧、②栄養、③局所管理の3つです。この3点を意識することが重要ですが、意外と見落としがちなのが「ズレ」対策です。スライディングシートやスライディンググローブの活用、背抜き・圧抜きの必要性を指導していますが、現場に定着しないことが悩みです。
看護師C
ある施設では、ベッドごとにスライディングシートを設置した結果、スタッフの腰痛が軽減し、定着したそうです。入れ方のコツを知らない人も多いので、知ればより使いやすくなると思います。
看護師A
スタッフだけでなく、患者さんの負担軽減にもなります。スタッフ自身が患者の立場で経験するとよいのかなと思います。
看護師B
物品が不足する場合は、ゴミ袋やビニールエプロンで代用していました。これはよかったのでしょうか?
看護師A
スライディンググローブは高くても3000円前後ですが、在宅では高額と感じることもあり、ビニール袋を輪っか状に切ってキャタピラーのように滑らせて使うこともあります。目的を達成するためにどうすればいいかを考えると、いろいろとアイデアが出てきます。
看護師B
教科書的なベストなケアは理解していても、現場で求められるのはベターで継続できるものだったりします。ベストではなくベターを目指すと、気持ちが少し楽になります。
看護師C
必要なものを購入してもらえるよう説明する話術も看護師の技術かもしれません。代用品の活用も有効ですが、正規品には正規品の効能があります。
看護師A
そうですね。私たちが紹介するものは高いものも多いですが、値段だけでなく、長期的に使えるか、管理しやすいかを考えて提案しています。
医師が褥瘡に詳しくない場合は?
看護師C
主治医が褥瘡に詳しくなく、指示が違うなと感じる場合もあります。その際、どう対応すればいいでしょうか?
看護師B
患者さんの状況に合わせたタイムリーな対応が必要ですが、違うと感じた場合、医師に根拠を持って伝えるのが難しいことがあります。
看護師A
そのような相談もよく受けます。いかに主治医を動かすかも看護師の役割です。難しい医師を説得する時は、論文や文献、ガイドラインを用いて、医師の性格に合わせて提案すると良いでしょう。
【まとめ】
・褥瘡ケアの3本柱は①除圧②栄養③局所管理
・意外と見落としがちなのが「ズレ」対策
・医師を説得する時は、論文や文献、ガイドラインを持っていって、医師の性格に合わせて提案 ・褥瘡の最新情報を知るには褥瘡学会のホームページが一つの情報源