バイアルの薬剤をうまく溶解して吸い上げられなくて薬が飛び散った経験はありませんか?実習のときに習っても臨床の場でしか経験できないためわからない方も多いと思います。そこで、失敗しにくいバイアルの吸い上げ方を解説します。
【必要物品】
バイアル
溶解液
シリンジ
注射針
アルコール綿
手袋
溶解液が必要な場合
溶解液の吸い上げ
まず、シリンジと注射針を用意し、注射器で溶解液を吸い上げます。この際、少量の空気も吸い上げておくと良いでしょう。例えば、5mlの溶解液なら、0.5ml程度の空気を吸い上げると良いです。
次に、バイアルを手に取り、シリンジ付き注射針を垂直に刺します。この際、バイアルを斜めに傾けて、溶解液がガラス面に伝うようにゆっくりと注入します。垂直に刺す理由は、バイアル内にゴム栓の破片が入るのを防ぐためです バイアル内が陰圧になっているため、シリンジを押さなくても溶解液が自然に流れ込みます。力をかけて押すと、バイアルの破損やシリンジと注射針の接続が緩み、薬液が飛び散る原因になります。また、バイアル内の圧が強すぎると、針を抜いた際に薬剤が飛び散ることもあるので注意が必要です。
薬液の溶解
バイアルを振らずに、ゆっくりと円を描くように動かして薬液を溶かします。これにより、泡立ちや過剰な圧力が発生するのを防ぎます。
溶解が不要な場合
薬液の吸い上げ
シリンジと注射針を用意し、ゴム栓を垂直に針で刺します。その後、溶解液が必要な時と同様シリンジから少量の空気を注入して陽圧にし、薬液を吸い上げます。
バイアル内に適量の空気を注入することで陽圧になり、スムーズに薬液が吸い上げられます。これは薬液の漏れや破損を防ぐために非常に重要です。しかし、陽圧がかかりすぎるとゴム栓から薬液が漏れ出たり、破損の原因になります。
逆に、空気を入れずに薬液を吸い上げると、陰圧がかかりすぎて薬液が残ってしまうことがあります。特に溶解液が少量の場合には注意が必要です。
【まとめ】
-注射針はゴム栓の破片が混入しないように垂直に刺す。
-バイアルを振らずに円を描くように動かして薬液を溶かす。
-適量の空気を注入してバイアル内を陽圧にし、薬液をスムーズに吸い上げる。