冬になると、入浴中に倒れる事故が増加します。その原因の一つがヒートショックです。急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすこともあります。特に高齢者はリスクが高いため、入浴環境の工夫や生活習慣の見直しが重要です。本記事では、ヒートショックの原因や予防策、万が一発生した際の対応方法を詳しく解説します。寒い季節を安全に過ごすために、ぜひ対策を実践しましょう。
ヒートショックとは

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に強い負担がかかる現象です。特に冬場の入浴時、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に移動すると血圧が急上昇し、その後、熱い湯船につかることで急降下することで発生します。
軽度であればめまいや立ちくらみ程度で済みますが、重度になると失神や心筋梗塞、脳卒中など命に関わる症状を引き起こすこともあります。特に11月から2月は気温が低く、室内と外気の温度差が大きくなるため、ヒートショックが起こりやすい時期とされています。
ヒートショックを防ぐための対策

ヒートショックを予防するためには、室内の温度管理、入浴の工夫、生活習慣の改善が重要です。
① 脱衣所・浴室の温度差をなくす
- 入浴前に浴室暖房をつける
- 浴槽のふたを開けて湯気で温める
- 脱衣所に小型ヒーターを設置する
② お湯の温度を適切に設定
- 湯温は40℃以下(38〜40℃が推奨)
- 熱すぎるお湯は血圧の急変を引き起こすため避ける
③ 入浴のタイミングを工夫
- 日没前に入浴すると、室温と浴室の温度差が小さくなる
- 午後2時~4時の入浴が理想的(血圧が安定しやすい時間帯)
- 食後1時間以内の入浴は避ける(食後低血圧による失神リスク)
④ アルコール・薬の影響に注意
- 飲酒後の入浴は避ける(血圧が低下し、失神のリスクが高まる)
- 精神安定剤・睡眠薬服用後の入浴も危険(意識喪失による溺死のリスク)
⑤ 入浴前後の水分補給
- 入浴前後にコップ1杯の水を飲む(脱水を防ぎ、血圧変動を抑える)
⑥ 入浴時の工夫
- かけ湯をしてから湯船に入る、またはシャワーを浴びてから湯船につかる(体を徐々に温める)
- 入浴時間は10分以内を目安に
- 急に立ち上がらず、湯船の中でゆっくり動く
⑦ 一人での入浴を避ける
- 家族がいる場合は声をかけ合い、入浴時間を確認する
ヒートショックが起こったときの対応

万が一、浴室で倒れてしまった場合は、迅速に対応することが重要です。
① 反応がない、意識がもうろうとしている場合
1. すぐに119番に通報し、救急車を呼ぶ
2. 呼吸や脈拍を確認する
3. 浴槽の湯を抜き、慎重に引き上げる(可能であれば)
4. 呼吸や脈拍がない場合は、心肺蘇生(胸骨圧迫)を開始する
② めまいや立ちくらみがある場合
1. 必要に応じて病院を受診する
2. 無理に立ち上がらず、手すりなどを使いながらゆっくりと動く
3. 安静にし、温かい場所で横にならせる
4. 毛布やバスタオルをかけ、体を冷やさないようにする
【まとめ】
・ヒートショックは寒暖差による血圧変動が原因で、特に高齢者はリスクが高い
・脱衣所や浴室の温度管理、湯温の調整、水分補給が予防のポイント
・万が一倒れた場合は、まず意識を確認し、反応がなければすぐに救急車を呼ぶ
・軽度の症状でも、めまいや立ちくらみがある場合は安静にし、温かい場所で休ませる