ヒートショックとは?原因と予防策、緊急時の対応まで詳しく解説

観察・患者対応
2025.04.30
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冬になると、入浴中に倒れる事故が増加します。その原因の一つがヒートショックです。急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすこともあります。特に高齢者はリスクが高いため、入浴環境の工夫や生活習慣の見直しが重要です。本記事では、ヒートショックの原因や予防策、万が一発生した際の対応方法を詳しく解説します。寒い季節を安全に過ごすために、ぜひ対策を実践しましょう。

ヒートショックとは

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に強い負担がかかる現象です。特に冬場の入浴時、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に移動すると血圧が急上昇し、その後、熱い湯船につかることで急降下することで発生します。

軽度であればめまいや立ちくらみ程度で済みますが、重度になると失神や心筋梗塞、脳卒中など命に関わる症状を引き起こすこともあります。特に11月から2月は気温が低く、室内と外気の温度差が大きくなるため、ヒートショックが起こりやすい時期とされています。

ヒートショックを防ぐための対策 

ヒートショックを予防するためには、室内の温度管理、入浴の工夫、生活習慣の改善が重要です。

① 脱衣所・浴室の温度差をなくす

  • 入浴前に浴室暖房をつける
  • 浴槽のふたを開けて湯気で温める
  • 脱衣所に小型ヒーターを設置する

② お湯の温度を適切に設定

  • 湯温は40℃以下(38〜40℃が推奨)
  • 熱すぎるお湯は血圧の急変を引き起こすため避ける

③ 入浴のタイミングを工夫

  • 日没前に入浴すると、室温と浴室の温度差が小さくなる
  • 午後2時~4時の入浴が理想的(血圧が安定しやすい時間帯)
  • 食後1時間以内の入浴は避ける(食後低血圧による失神リスク)

④ アルコール・薬の影響に注意

  • 飲酒後の入浴は避ける(血圧が低下し、失神のリスクが高まる)
  • 精神安定剤・睡眠薬服用後の入浴も危険(意識喪失による溺死のリスク)

⑤ 入浴前後の水分補給

  • 入浴前後にコップ1杯の水を飲む(脱水を防ぎ、血圧変動を抑える)

⑥ 入浴時の工夫

  • かけ湯をしてから湯船に入る、またはシャワーを浴びてから湯船につかる(体を徐々に温める)
  • 入浴時間は10分以内を目安に
  • 急に立ち上がらず、湯船の中でゆっくり動く

⑦ 一人での入浴を避ける

  • 家族がいる場合は声をかけ合い、入浴時間を確認する

​​ヒートショックが起こったときの対応 

万が一、浴室で倒れてしまった場合は、迅速に対応することが重要です。

① 反応がない、意識がもうろうとしている場合

1. すぐに119番に通報し、救急車を呼ぶ

2. 呼吸や脈拍を確認する

3. 浴槽の湯を抜き、慎重に引き上げる(可能であれば)

4. 呼吸や脈拍がない場合は、心肺蘇生(胸骨圧迫)を開始する

② めまいや立ちくらみがある場合

1. 必要に応じて病院を受診する

2. 無理に立ち上がらず、手すりなどを使いながらゆっくりと動く

3. 安静にし、温かい場所で横にならせる

4. 毛布やバスタオルをかけ、体を冷やさないようにする

【まとめ】

・ヒートショックは寒暖差による血圧変動が原因で、特に高齢者はリスクが高い

・脱衣所や浴室の温度管理、湯温の調整、水分補給が予防のポイント

・万が一倒れた場合は、まず意識を確認し、反応がなければすぐに救急車を呼ぶ

・軽度の症状でも、めまいや立ちくらみがある場合は安静にし、温かい場所で休ませる

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