バイタルサインの測定は、患者の健康状態を把握し、身体の不調や異常を早期に発見するために非常に重要です。中でも経皮的動脈血酸素飽和度(以下SpO2)は、体内に十分な酸素が供給されているかどうかを示す指標であり、その測定は日常の看護において欠かせません。しかし、トラブルによって正しく測れないこともあります。この記事では、うまくSpO2が測定できない5つのケースと、それぞれの対処法について詳しく解説します。
SpO2とは、血液中のヘモグロビンに酸素がどの程度結合しているかを経皮的に測定するパルスオキシメーターが示す指標です。指先などの末梢血管に光を当て、酸素と結合したヘモグロビンを測定します。
一般的には、手指にパルスオキシメーターを装着して測定します。正常値は96~99%とされています。
1. 指が冷たい、または血行不良

末梢の血行が悪いと、指先で酸素飽和度を測ることが難しくなります。特に寒い環境では指が冷えていると、センサーがうまく反応しません。
対処方法: 測定前に手を温めることが効果的です。手をこすったり、軽く振ったりして血流を改善しましょう。また、ホットタオルや蒸しタオルを当てるのも有効です。
2. センサー不良

パルスオキシメーターのセンサーが指に触れていない、または汚れている場合、正確な測定ができません。直射日光や強い人工光がセンサーに当たると、測定結果に影響があります。
対処方法: センサーを指にしっかりと挟み込むようにセットし、センサー部分が汚れていないか確認しましょう。測定部位は直射日光や強い光を避けます。
3. 指の動き

測定中に指を動かすと、センサーの光がうまく当たらず、正確な数値が表示されないことがあります。
対処方法: 指を曲げないように注意して、センサーが動かないように固定しましょう。数値がなかなか出ないときは別の部位に変えて測定することも効果的です。
4. 指の変形

指の変形がある場合、センサーが上手く指に当たらず隙間ができ、測定が困難になることがあります。
対処方法: 変形が少ない部位で測定するか、手指以外の酸素飽和度が測定できる部位(足指や耳たぶなど)を利用しましょう。
5. 体動後の呼吸整理
特に慢性呼吸不全や間質性肺炎を既往とする患者さんは、活動後に呼吸が乱れ、酸素飽和度が一時的に下がることがあります。
対処方法: 体動後は患者さんに数分間リラックスして呼吸を整えてもらい、その後で酸素飽和度を測定しましょう。
日々の酸素飽和度の測定には、これらのポイントに注意して実施してみましょう。
【まとめ】
・冷たい指:手を温め、血流を改善。
・センサー不良:センサーを清潔に保ち、正しく装着。
・指の動き:指を静止させて測定。
・指の変形:変形が少ない部位で測定。
・体動後の呼吸整理:活動後数分間で呼吸を整えてから測定。