看護師の業務で日常的に行う採血や点滴挿入。煩雑な業務の合間に行うことや、手順をおろそかにすることで、針刺し事故につながりやすくなります。感染リスクを避けるためにも適切な手順や手技を身につけましょう。
1.針刺し事故とは?
医療従事者が採血や縫合などの際に、血液や体液で汚染された鋭利な器具(主に注射針)により誤って自分の皮膚を刺してしまう事故のことです。今回は、看護師が採血や点滴を行う状況においての針刺し事故を防ぐ方法についてお伝えします。
2.看護師が採血、点滴をするときのポイント
ポイント1 :慌てず作業に集中できる環境やサポートがある

まず、患者さんの協力を得る必要があります。もし、採血や点滴時の体位保持の協力が得られない場合は、他のスタッフにサポートしてもらいましょう。また、物品はトレイなどを利用して準備し、十分な明かりや作業をする環境を整えます。自身の防護として手袋、マスク、ゴーグルを着用、足先を守るためにサンダルではなく靴を選びましょう。
ポイント2:採血や静脈留置針の抜去後はすぐに医療廃棄物容器に捨てる

医療廃棄物容器を側に置き、使用後の針はすぐに廃棄します。安全装置付きの器具を使用し、正しく作動させることで使用後の針を保護します。使用後の針は原則作業した本人が医療廃棄物容器にすみやかに破棄しましょう。医療廃棄物容器は満杯になる前に交換しましょう。
ポイント3・針の先に手を持ってこない

使用後の針はリキャップしないことを徹底しましょう。可能な限り真空管容器を使用し、分注作業は避けます。もし、血液や体液を分注する必要があれば、試験管立てや血液分注器具など、安全に分注できる器具を使用しましょう。
4.針刺し事故が発生した場合の対応
1, ただちに傷口を流水と石けんで十分に洗浄します。眼球・粘膜への曝露の場合は多量の流水で洗いましょう。(血液を絞り出したり、曝露部位の消毒は有効性が証明されていないとされています)
2,針刺しをしたスタッフと、曝露源になった患者さんの感染症各マーカーを確認をします。
3,院内や施設の感染対策マニュアルに従ってすみやかに上司に報告し、予防内服などの指示を仰ぎます。
【まとめ】
- ・落ち着いて作業できる環境を整える
- ・医療廃棄物容器は満杯前に交換する
- ・使用後の針はすぐに医療廃棄物容器へ廃棄する
- ・針のリキャップは避け、安全装置付きの器具を使用する
- ・事故時は流水で洗浄し、報告・感染対応を迅速に行う