臨床現場で新人看護師さんが最初にぶつかる課題のひとつが、医師や先輩看護師への報告です。患者さんの状態を正確かつ迅速に伝える力は安全で質の高い看護の基本ですが、「何を、どう整理して伝えればいいのか」と迷う人も多いでしょう。特に急変時は焦りが伴いやすく落ち着いた報告が難しくなります。今回は、新人看護師さんがすぐに活用できる報告の定番ツール「SBAR」について基本から実践的な使い方まで分かりやすく解説します。
SBAR(エスバー)とは

SBARはSituation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案)の頭文字です。元々アメリカ海軍で開発されたコミュニケーション手法で、慌ただしい場面でも必要な情報を簡潔に伝えて誤伝達の防止に役立つとされています。臨床では急変時のドクターコールなどに使われ、医療安全の観点から多くの病院で導入されています。
SBARの目的
1.情報の漏れや重複を防ぐ
報告すべき事項が明確になり、聞き手が必要な情報を過不足なく得られます。
2.報告の時間を短縮する
マニュアル化されているため、報告が迅速になり、急を要する場面での対応時間を稼げます。
3.不安を軽減する
どのように報告すればよいかが分かるので、報告に対する自信に繋がります。
SBARの使い方

S(状況):今、何が起こっているのかを簡潔に伝えます。
「505号室の山田太郎さんについての報告です。9時の検温時に38℃台の発熱をみとめ、軽度喘鳴も聞かれます。クーリングで様子を見ましたが、解熱しません。」
B(背景):その状況に至った背景を報告します。診断名や既往歴など要点を絞ることが求められます。
「山田さんは脳梗塞後遺症のある方で、嚥下機能低下のためソフト食+とろみ水分を自己摂取しています。今朝の朝食時にややむせている様子を見て夜勤者が声をかけたようです。現在のバイタルは体温:37.8℃、SpO₂:93%、HR:92回/分、RR:22回/分、BP:118/64 mmHgです。ご本人は発熱と咳嗽のためか倦怠感があるようです。右下肺で肺雑音も聞かれます。」
A(評価):観察したことをどう評価しているか伝えます。
「誤嚥性肺炎の可能性を考えています。」
R(提案):聞き手に何をしてほしいか具体的に伝えます。
「まもなく、昼食が配膳されるので診察していただき、経口摂取に関する指示と、輸液や抗生剤、採血やレントゲンなどの指示をいただきたいです。」
SBARを使った報告のコツ
1.事前に必要な情報を整理する
2.数字や観察所見は具体的に伝える
3.相手の理解を確認するために復唱を促す
最初は難しいかもしれませんが、先輩の報告を真似したり、シミュレーションを繰り返すことで自然と身についていきます。自信を持ってSBARを活用していきましょう。
まとめ
・SBARとは簡潔で迅速に情報を正しく伝えるコミュニケーションツール
・状況(S)→背景(B)→評価(A)→提案(R)の順番に伝える
・相手の理解を確認するために復唱を促す



