それNG!イントラリポス投与時3つの注意点

観察・患者対応
2025.12.20
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輸液管理している患者さんに、指示が出ることが多いイントラリポス。イントラリポスの効果を、体内で発揮させるためには投与時に注意しなければならない点が3つあるって知っていますか?今回はイントラリポス投与時の3つの注意点について解説していきます。

1、イントラリポス投与の目的

イントラリポスは大豆油由来の脂肪乳剤です。単体で脂質を投与できる脂肪乳剤は、イントラリポスしかありません。

脂質は、三大栄養素の糖質・タンパク質・脂質の中で最もエネルギー値が高い栄養素です。糖質・タンパク質が4kcal/gに対し、脂質は9kcal/gと効率の良いエネルギー投与が可能です。また、輸液には脂質が含まれないため、長期的な輸液のみの栄養管理では必須脂肪酸欠乏症になる恐れがあります。イントラリポス投与には、この必須脂肪酸欠乏症を予防する役割もあります。

2,投与時の注意点

3)矢印で各情報をつなぎ意味付けする

一般的な中心静脈栄養用輸液ルートのフィルターの目は0.2μmです。この目よりイントラリポスの粒子が大きいため(0.5μm程度と言われている)、フィルターが目詰まりしてしまう可能性があります。(ただし近年は、脂肪乳剤対応の1.2μmフィルター付きルートも流通しているので、自施設での使用製品を確認が必要です。)

また、ルート内でその他の薬液と混合すると、配合変化をきたし、肺塞栓などを引き起こす可能性があります。このため単独投与が必要です。他の薬剤が投与中であれば、その薬剤を止め、生理食塩液でフラッシュをしてからイントラリポスのみを投与しましょう。

②24時間以内のルート交換

イントラリポスは他の薬液に比べ、細菌や真菌の増殖が早いといわれています。そのため、カテーテル関連血流感染予防として、イントラリポスに使用したルートは24時間以内の交換を推奨されています。

③投与速度は重要!

急速投与してしまうと、うまく代謝されず高トリグリセリド血症をきたすことも。イントラリポスは、0.1g/kg/H以下での投与が推奨されています。

例)イントラリポス20%100mlを体重50kgの患者さんに投与

イントラリポス20%100mlの脂肪含有量は20gです。5mlに脂肪が1g含まれていることがわかり、これを(A)とします。患者さんの体重は50kgなので、前述の推奨速度に当てはめると0.1×50kg=5g/h以下となり、これを(B)とします。
1時間に患者さんに投与される脂肪を5g以下にするには
(A)×(B)のため、イントラリポス5ml×5g/H以下=25ml/H以下
ということがわかりますね。したがって、100mlのイントラリポスを25ml/Hより遅く投与する=4時間以上かけて投与する必要があるとわかります。
オーダーのたびに、計算するのは大変です。自施設で採用している製剤パターンを確認し、おおまかな体重毎に一覧表にまとめておくと焦らずにすみます。

【まとめ】

イントラリポス投与時3つの注意点
・フィルターを通さず、単独投与が必要
・使用したルートは感染リスクが高いため24時間以内のルート交換が必要
・投与速度が早すぎると、効果が下がるため患者さんにあった速度で投与

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