術後せん妄ってなに?なぜ起こるかを解説!

観察・患者対応
2025.12.20
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術後せん妄ってなに?なぜ急に起こるの?といった疑問はありませんか。術後せん妄は、手術や麻酔、身体的・精神的ストレスなどをきっかけに、一時的に意識や認知が混乱する状態です。夜間に不穏症状が出現したり、点滴を抜去しようとしたり、暴れたりなど、対応に苦慮することも少なくありません。今回は、術後せん妄とはなにか、なぜ起こるのか、について解説します。

1. 術後せん妄とは?

術後せん妄とは、手術をきっかけに一時的に意識が混乱する精神障害です。手術は身体にとって大きな侵襲であり、麻酔・出血・炎症・疼痛などのストレスが同時に加わります。手術が直接的な原因ですが、発症にはさまざまな要因が関与します。患者さんが元々持つ因子としては、高齢、認知症、貧血や電解質異常、アルコールの摂取などです。さらに、入院による環境の変化や不安、感覚遮断、術後安静、睡眠障害などの誘発因子が加わって起こります。

2. 術後せん妄の症状は?

術後せん妄の症状には、3種類あります。

・過活動型せん妄:興奮、幻覚、妄想、徘徊、夜間の不眠など
・低活動型せん妄:傾眠、無気力、無関心、活動量の低下、反応が乏しいなど
・混合型せん妄:過活動と低活動、両方の症状が混ざって現れる

術後せん妄は、点滴やドレーンの自己抜去、夜間不穏による暴力、などの過活動型せん妄のイメージが強いかもしれません。しかし、実際は同じくらいの頻度で低活動性せん妄も起こっています。患者さんの様子が「なにかいつもと違うな?」と思ったら、術後せん妄の可能性を考慮しましょう。

3.術後せん妄は予測できる?

術後せん妄はリスク因子を予測し、早期発見・早期介入が重要です。患者さんの術前の状態を情報収集し、術後せん妄のリスクを評価しましょう。事前にリスクがあることを理解していれば、せん妄を起こさないための対策が可能です。DSM-5やCAMなどスクリーニングに用いられる専用ツールもあるため、活用してもよいでしょう。

術後せん妄のリスク因子は、年齢(60歳以上)、長時間の手術(4時間以上)、認知症やせん妄の既往、精神疾患の有無、貧血や電解質異常、術後疼痛、せん妄を引き起こす薬剤の使用などです。これらの項目に関して詳細に聞き取り、場合によっては患者さんの家族から術前の様子やADL、生活環境についての確認も対策に繋がります。

【まとめ】

術後せん妄は手術をきっかけに一時的に意識が混乱する精神障害です。
・術後せん妄は患者さん自身が持つリスク因子と、環境因子、手術によるストレスによって発症する
・症状には過活動型せん妄、低活動型せん妄、混合型せん妄の3種類ある
・術前からリスク因子を把握し、適切に介入することで予防が可能

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