患者さんに「お風呂に入りたくない」と言われたとき、どのように対応していますか?入浴拒否は多くの看護現場で直面する課題です。お風呂に入りたくない患者さんには必ずそれぞれの理由があります。そして、入浴拒否を受けた私達看護師は、その背景を理解することが重要です。無理強いせず、患者さんの気持ちを尊重しながら、入浴につなげるための具体的な方法をご紹介します。
1.無理強いしない

「お風呂に入りましょうか」と声をかけても拒否されることもあります。こんなとき、お風呂に入ってもらおうと無理強いするのは良くありません。拒否時に無理に入浴させると嫌な印象が残り、次回以降より拒否が強くなることも。まずは根気強く声かけをしながら、手浴や足浴、洗髪など部分的なところから介入しましょう。また「何をするのも億劫」という精神状況や倦怠感が強い人もいます。決められた間隔で「お風呂に入る必要がある」という介護者側の固定概念は捨てて「入浴できない日があっても良い」と捉えることもひとつです。
2.お風呂に入りたくない理由を聞く

入浴を拒否する患者さんは「寒いから嫌だ」や「裸になるのが恥ずかしい」など、それぞれの理由を持っています。まずは、じっくり患者さんの思いに耳を傾けます。「寒いから嫌」という場合は、寒くないように脱衣所や浴室内をしっかり温める、「恥ずかしい」という場合は、バスタオルをかけて上半身、下半身を部分的に洗うなどできるだけ露出を控えるなど、理由に対して対策をとりましょう。「恥ずかしい」という場合は、なるべく自分で洗える部分は自分で洗うよう促すのも一つの方法です。また、「恥ずかしいですね」と共感したり「ここは隠して洗いますね」と声かけも重要です。
3.選択肢を提示する

「入浴」という言葉は、湯船につかることを一般的に連想します。患者さんが「お風呂は嫌だ」と拒否した時に、入浴全般を拒否していると決めつけるのではなく、シャワー浴や部分浴などいくつか選択肢を提示してできそうなことを探ることが大切です。患者さんが何を望んでいるのかを汲み取り、患者さんが自分で選べるように配慮すると、安心感や協力の得やすさにつながるかもしれません。
【まとめ】
1.入浴の声かけに拒否が見られた場合は、無理強いせず手浴や足浴など部分的な清潔ケアを試してみるのもひとつです。
2.入浴拒否には必ず理由があります。患者さんの声に耳を傾け適切な対応をしましょう。
3.ケアを受けるかどうかは患者さんが選択することです。患者さんの希望に沿ったケアを心がけることが必要です。



