「経鼻胃管を入れないといけないのに、どうしても入らない……」そんな経験はありませんか?焦って何度も同じ方法を試しても、うまくいかず患者さんの苦痛が増すだけです。ここでは、入れやすくする工夫とその理由をわかりやすく解説します。
1、「ごっくん」を促そう

経鼻胃管が入りにくいときは、患者さんに口を閉じて唾を飲み込む「ごっくん」の動作を促してみましょう。嚥下のタイミングで喉頭が上がり、食道の入口が自然に開くため、チューブがスムーズに進みやすくなります。もし、この方法で入った場合、それまで挿入困難だったのは、喉頭が閉じて食道の入り口が狭くなっていた可能性が大きいです。このタイミングを利用するだけで、無理なく挿入できることがあります。経鼻胃管が入りづらい場合は、まず患者さんの嚥下に合わせて挿入を試してみましょう。
2、座位で前傾姿勢も有効!

「ごっくん」を促しても経鼻胃管がなかなか入らない場合、臥位で少しギャッジアップをしただけで挿入していませんか?その方法では通りにくいことがあります。
そんなときは、患者さんに座ってもらい、軽く前傾する姿勢をとってもらって試してみましょう。この方法のポイントは3つ。
- あごを軽く引くと、食道への道がまっすぐになる
- 喉頭入口部が閉じやすくなり食道入口が開くため、チューブがスムーズに進みやすい
- 寝たままよりも誤挿入のリスクが減り、患者さんの不快感も軽減
座位が取れる場合は、最初からこの姿勢で挿入すると、患者さんの負担を最小限に抑えられます。
3、どっちの鼻が通りやすいかも重要ポイント

経鼻胃管を挿入する前に、患者さんに両方の鼻で軽く息を吸ってもらい、どちらの鼻が通りやすいかを確認することは意外と重要です。鼻中隔の形や粘膜の腫れによって左右で通気性が異なるため、抵抗の少ない方からチューブを入れると、挿入がスムーズになり、粘膜損傷や痛みも軽減できます。また、この確認を行うことで、挿入が困難なケースでも無理に力を加えずに済み、患者さんへの負担を最小限に抑えられます。ちょっとしたひと手間ですが、成功率を高めるためには欠かせないステップです。
4、それでもダメなときは……

上記の方法を試したけれど、やっぱり入らない……そんなときは、医師に報告しましょう。無理に挿入を試みつづけて、患者さんに負担をかけすぎないことも大事な看護です。
【まとめ】
経鼻胃管の挿入が困難なときは……
1、「ごっくん」を促し、タイミングを合わせよう。
2、座位で前傾姿勢になると口→食道入口がまっすぐになり、入りやすい。患者さんの負担も少ない。
3、鼻の通気性を確認も忘れずに。鼻中隔の湾曲や粘膜腫脹による狭窄を避けられる。