排尿でわかる危険サインとケアの工夫

観察・患者対応
2025.10.7
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尿器の片づけ、ウロバッグやポータブルトイレの処理…。こうした排尿ケアの一コマは実は全身状態の変化をいち早く察知できる大切な観察の場面でもあります。
「毎日出ているから大丈夫」「色も量もいつも通りに見えるから問題ない」と流してしまうと、腎機能低下や尿路感染症、脱水など重大な疾患のサインを見逃すことにつながります。ここでは、尿の「色」「量や回数の変化」「見落としやすい異常」に注目し、現場での観察とケアの工夫を紹介します。

1. 尿の色・におい・泡立ちで気づく異常

尿の観察は、腎臓・尿路系・循環動態を含めた全身状態の状態を知る重要な手がかりです。

よくある変化と考えられる原因

・濃い黄色〜茶色:脱水や高熱

・赤色尿:膀胱炎・尿路結石・腎疾患などの出血

・白濁尿:細菌や膿による尿路感染症

・長く消えない泡:蛋白尿や糖尿(腎疾患・糖尿病のサイン)

ケアのポイント

・尿器や採尿バッグの尿を採取前に観察し、色やにおい、泡立ちを記録する

・変化を発見したら、発症時刻・水分摂取状況・服薬状況を確認する

・異常があれば、その場で医師やリーダーに報告し、

・必要に応じて尿検査を依頼する

2. 尿量や回数の変化から読み取るサイン

尿量・回数の変化は全身状態の異常を示すことがあります。

代表的な変化と背景

・頻尿:尿路感染症、過活動膀胱、前立腺肥大、心不全など

・乏尿・無尿:腎機能低下、脱水、ショックなど

・多尿:糖尿病、利尿薬の影響

ケアのポイント

・尿量を計測し、24時間合計で評価する

・水分出納表を用いて、入出量バランスを確認する

・普段の排尿パターンと比較して差があれば、その経過を時系列でまとめて報告する

3. 排尿時の痛みや違和感に注目

排尿時の「しみる」「痛い」は感染や炎症のサインです。

対応の流れ

・訴えがあったらす症状の開始時期・持続時間・変化の有無を観察する

・発熱や悪寒などの随伴症状を確認し、バイタル測定を行う

・排尿直後に尿を採取し、なるべく早く検査へ提出する

・高齢者や認知症患者の場合は、顔をしかめる、落ち着かない動作など非言語的サインも観察する

4. 失禁や夜間頻尿から見える機能低下

急な失禁や夜間の排尿増加は、能低下や薬剤副作用の可能性があります。

リスクと注意点

・骨盤底筋の機能低下、神経疾患、薬剤影響

・夜間頻尿は転倒リスク増大

ケアのポイント

・失禁時刻・前後の行動・体位・尿量を具体的に記録する

・骨盤底筋体操の方法を指導し、実施を計画し促す

・夜間はベッドからトイレまでの動線を確認し、足元灯や手すりを設置する

・転倒リスクが高い場合はポータブルトイレや尿器の使用を提案する

【まとめ】

・濃縮尿、赤色尿、白濁尿、長く消えない泡は、脱水・出血・感染症・腎疾患などが考えられます。日々の観察で気づいた変化は、記録し速やかに報告しましょう。

・尿量の減少や頻尿は、腎機能低下や感染症が疑われることもあります。水分出納を確認し、時系列で普段との違いを整理して報告しましょう。

・排尿時の痛みやしみる感覚は、尿路感染症や炎症のサインです。バイタルサインの測定をして医師に報告しましょう。

・尿失禁や夜間頻尿は、排尿機能の低下や薬剤の影響が考えられます。失禁の状況を観察し、環境整備や骨盤底筋体操、排尿誘導など適切なケアを行いましょう。

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