CVポート留置中に起こりうるトラブル

観察・患者対応
2025.09.11
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CVポート(皮下埋め込み型中心静脈ポート)は、長期の静脈ルート確保や薬剤投与に有用です。一方でさまざまな合併症のリスクも伴います。特に感染や皮下漏出、カテーテル閉塞は注意が必要なトラブルです。この記事では、それぞれの原因や予防策、日々の観察とケアについて説明します。

1.感染

CVポート留置中は、感染予防が重要です。ヒューバー針穿刺時に、穿刺部をうっかり皮膚常在菌で汚染してしまうことがあります。ほかにも輸液や輸血時に、ヒューバー針の接続部を不潔にしてしまったり、接続部のキャップを外して放置してしまったり……と感染を引き起こす可能性があります。感染のリスクを最小限にするために、穿刺部位の消毒はクロルヘキシジンアルコールを含ませた綿球で行いましょう。このとき内側から外側に向かって円を描くように消毒します。また、ヒューバー針接続部位の消毒にはアルコール綿を使用します。消毒薬は、乾いた状態で殺菌効果が発揮できるため、いずれも消毒薬が乾くのを待ち、乾燥後に穿刺や接続を行うことが重要です。刺入部の発赤や滲出液の有無を日常的に観察し、異常の早期発見に努めましょう。

2.皮下漏出

CVポート留置中の皮下漏出は、薬剤が皮下組織へ漏れることで疼痛や炎症を引き起こします。原因として、ヒューバー針穿刺時にリザーバータンクと呼ばれるポート内腔に針先が到達していないことや、体動などでチューブが引っ張られ、針先がポートから外れることが挙げられます。観察時のポイントとして、ポート部の疼痛や腫脹、滴下不良の有無を確認しましょう。

3.カテーテル閉塞

カテーテル閉塞の原因は主に2つあります。

・フィブリンシース……カテーテルの長期留置により、たんぱく質成分などがカテーテルのまわりに付着して、膜を形成する現象。定期的かつ効果的なフラッシュの実施が予防の鍵。

・カテーテルキンク・ピンチオフ……カテーテルが鎖骨と第一肋骨の間に挟まれてしまい、カテーテルが傷つくこと。滴下むらが生じるため、閉塞の要因となりうる。多くが入れ替えを要する。

【まとめ】

1.皮膚常在菌や不適切な処置により感染を起こす可能性があります。正しい手技で消毒・輸液管理を行いましょう。

2.皮下漏出は疼痛や炎症を起こします。確実な穿刺と固定、投与中の状態観察が重要です。

3.カテーテル閉塞は薬剤投与や採血に支障をきたします。適切な量・手技による定期的なルートフラッシュが重要です。

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