その固定、大丈夫?“抜けた・かぶれた”を防ぐ経鼻胃管固定の基本と工夫

観察・患者対応
2025.08.6
0件のコメント

「経鼻胃管を、ちゃんと固定してたのに抜けてた…」「赤くなってかぶれちゃった…」
そんな経験、ありませんか?
経鼻胃管の固定は、自己抜去や皮膚トラブルの予防だけでなく、患者さんの安心や快適さにもつながる大切なケア。

今回は、基本の固定方法から皮膚トラブルを防ぐ工夫、個別対応のポイントまで、押さえておきたい実践知識をお伝えします!
※経鼻胃管はNasogastric tubeと英語で訳されることからNGチューブと呼ばれることも多いです。本稿では「経鼻胃管」と表記します。

1.固定方法のポイントと注意点

経鼻胃管の固定は、Y字テープ方式ですると良いでしょう。鼻腔の出口から2-3cmくらいのところで少したるませ、引っ張られたときに抜けにくくするのがポイントです。

一方で、たるませすぎるとひっかかる場合があるので、長さに注意します。さらに頬やこめかみ、耳の後ろなどでも固定することでチューブが引っ張られるリスクを軽減できます。伸縮性があり皮膚に優しい素材のハイドロコロイドやシリコンテープなどを選択すると良いでしょう。

2.皮膚保護と観察ポイント

経鼻胃管の固定による皮膚トラブルには、テープ刺激による発赤やびらんがあります。ほかにもチューブの圧迫による潰瘍形成や、テープの粘着剤や汗による蒸れからかぶれることも。

このようなトラブルを防ぎ、患者の苦痛を減らす工夫の1つとして、テープを剥がすときはリムーバーを使用するのもよいでしょう。リムーバーをテープと皮膚の隙間に浸透させながら、端からゆっくりと剥がします。また、テープを交換するときはぬるま湯で絞ったガーゼで鼻や頬を優しく拭いて、テープの粘着剤や皮脂汚れを落としてから貼ると良いです。

3.患者に合わせた工夫と対応例

経鼻胃管は、患者の状態に応じた固定方法が求められます。たとえば、認知症やせん妄のある患者では、自己抜去のリスクが高いため、目立たない位置での固定やチューブが意識されにくい経路の工夫が有効です。具体的には、メガネのツルに沿わせてチューブを誘導し、耳の後ろで固定すると視界に入りにくくなります。また、皮膚が脆弱な患者の場合は、テープを直接皮膚に貼らず、透明フィルムを介して固定する方法がオススメ。

一般的に、医療用テープの中では粘着力が弱く、通気性に優れている透明フィルムを用いることで、皮膚への直接的な刺激を抑えられ、脆弱な皮膚にも比較的安全に使用できます。
さらに、寝たきりで活動性が低下している場合と、活動的な場合とでは、チューブの固定方法にも配慮が必要です。
日中の体動を踏まえてたるみを調整するなど、患者の生活パターンに応じた対応をしていきましょう。

【まとめ】

1.Y字テープでたるみを持たせ固定することで抜去予防と肌に優しいテープの選択が重要。

2.皮膚トラブル防止に配慮。リムーバー使用や刺激軽減も工夫を。

3.患者の個別性に応じた固定を工夫し、自己抜去や皮膚障害を予防。生活パターンを考慮し対応することが重要。

Share
  • Facebook
ページトップ